ECD 『ECDIARY』

なぜ、ECDが readymade festival に出ていたかといえば、9月19日に、書き下ろし単行本『ECDIARY』を、readymade international からリリースしたからである。サイン会もやっていたというのに、ますます行けばよかったと思う。

その内容だが、タイトルどおり、ECDの100日間の日記である。ラッパーだから、何かを煽るように書いているかと思うが、そんなことはなかった。誤解を恐れずに言えば、まったく普通。淡々としている。しかし、書いている内容が、彼の経験や視点をわかりやすく浮かび上がらせてくれる。メジャーのレコード会社のこと、イラクの紛争、サウンド・デモ、女子高生、携帯電話などなど。同じことをblogで書いたとしたら、どうなるだろうか。意外と、簡単に読み流してしまうかもしれないと思った。なぜなら、出版された活字と紙面の組み合わせには、独特の静謐さが漂っていて、それだからこそ、言葉がよく届くのではないか。そんなふうに考えた。

小西康陽は、その推薦文で、「もちろん彼はぼくたちの代弁者なんかではない。けれども彼の言葉を読むときのこのぞくぞくするような爽快感は何だろう。」と書いていた。たしかに、彼の言葉はあまりにも抵抗なく入ってくるので、代弁者だと勘違いしやすいと思う。言われてみれば、私は、今まで本を読むとき、ものすごく勘違いしやすい読み方をしていたことに気づいた。悪い意味で素直すぎた。

一気に読めて、1,260円なので、とてもお得だ。ECDというミュージシャンに、ますます興味がわいた。すぐに、感想をECDBBS(http://6627.teacup.com/ecdbbs/bbs)に書き込んだ。そして、読者カードには、「サインをもらおうと思ったのが、readymade festivalにいけなかったので残念だった。あと、小西氏のmixCDも買えなかったので、また買うチャンスを作って欲しい」と書いておいた。我ながらしつこい。しかし、ここまでやらなければ、未練を楽しめないではないか。まあ、迷惑にならない程度に。