iguigu vs tnb : SASとCKBでつづる神奈川妄想観光案内
これは、(1stシーズン)謎解きクラスタによる謎以外 Advent Calendar 2018 - Adventar
のエントリとして書かれています。
オープニング
(昨年と同じオープニングテーマ)
ここではないどこかへ。
ポップソングはいつも数分間のお楽しみを提供してくれます。
そしてそれは、場所と時間、さらには世代すら超えて。
DJ iguigu と DJ tnbによる、住んだこともなければそれほど行ったこともない神奈川県を、それぞれが好きなミュージシャンで勝手にめぐる、題して、『SAS(サザンオールスターズ)とCKB(クレイジーケンバンド)でつづる神奈川妄想観光案内』。
DJ tnb (クレイジーケンバンド担当)
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本牧仕様のサーファーガール
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マリンタワー・ゴーゴー
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葉山ツイスト the readymade ye ye track remexed by 小西康陽
CRAZY KEN BAND ALL TIME BEST 愛の世界(通常盤)
- アーティスト: クレイジーケンバンド
- 出版社/メーカー: Universal Music =music=
- 発売日: 2017/08/02
- メディア: CD
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- LADY MUSTANG
クレイジーケンバンドを初めて見たのは、1999年から2000年にかけての、ピチカート・ファイヴのカウントダウンライブのゲストとしてでした。いわゆるロックバンド、という雰囲気からは大きくかけ離れた、怪しげかつ軽妙に様々なジャンルを横断するサウンドの手練手管にやられてしまい、気がつけば追いかけて20年近くが経っていました。
彼らの魅力を一言でいうなら、「ハッタリがきいている」。ヨコハマ・ヨコスカを中心としたキーワードで幻惑しながら、職人のような緻密さで、でも、おじさんの気安さでわずかにスキを残して安心させ、いつの間にか私たちをどこかに連れ去ってくれるような。そしてほとんどの作詞作曲を手掛けるヴォーカル・横山剣の妄想の力もそれだけ果てしないものなのでしょう。
同名のドラマの主題歌でもあった、CKB 最大のヒット曲『タイガー&ドラゴン』を含めて、いぐいぐくんのサザンオールスターズ選曲につながるように5曲選んでみました。いかがでしょうか。
DJ iguigu (サザンオールスターズ担当)
- SEA SIDE WOMAN BLUES
SEA SIDE WOMAN BLUES [2018 Remaster]
- アーティスト: サザンオールスターズ
- 出版社/メーカー: TAISHITA
- 発売日: 2018/08/06
- メディア: MP3 ダウンロード
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愛の言霊 ~Spiritual Message~
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LOVE AFFAIR ~秘密のデート~
- 君こそスターだ
- 勝手にシンドバッド
今年、2018年はサザンがデビュー40周年を迎えた記念の年。
20代前半から、常に日本の音楽シーンの第一線で活躍し続けるモンスターバンド、その魅力をここで少しでもお伝え出来たらと思います。
夏になると表に出てくる陽キャ、くらいの印象を持っている方も多いであろうサザン。
しかしその実態は「究極にシャイで謙虚」であり、それこそがサザンの魅力だと私は考えています。
ボーカルの桑田佳祐と関わりをもった様々な業界人は、常に彼の低姿勢ぶりに言及します。幼い頃から歌謡曲と洋楽に精通し、60歳を過ぎた今もなおEDMのような現代音楽に触れる(そして自らの新曲に取り入れちゃう)。桑田佳祐、そしてサザンはいつも「今を吸収しながら生きる」バンドなのです。
ということで今回選んだ5曲。どれも有名どころではありますが、「ポピュラー・イメージのサザン」と「そのカウンター・イメージのサザン」を織り交ぜてあるつもりです。これを聞いて桑田佳祐の故郷、神奈川に想いを馳せながら、サザン40周年の足跡をたどってみてはいかがでしょうか。
エンディング
実際にミックス作ってみました。が…いろいろありますので、連絡いただければ、まあ、なんとか。
どちらさまも、よいお年をお迎えください。
(昨年と同じエンディングテーマ)
ポプリ または マイ・カップ・オブ・ティー 2017
これは、(1stシーズン)謎解きクラスタによる謎以外の Advent Calendar 2017 - Adventar のエントリとして書かれています。
こんにちは。tnb、43歳、男性です。
- 市川崑の『第50回全国高校野球選手権大会 青春』試写会のあとに流れてきた、Dave Brubeckの『Summer on the Sound』。 (オープニングテーマ)
- "cup of tea" が「好きなもの」という意味だと知ったとき。
- 毎年恒例だった舞台『小堺クンのおすましでSHOW FINAL』千穐楽での、各著名人からのお便りを読み上げるコーナーで、便箋6枚中5枚に嘘のエピソードとギャグだけを書いて、小堺一機を本気で笑わせた関根勤。
- 謎解き公演タイトル大賞は、ENIG-ROID『だるまさんが転んだ式ヨガスクール』。内容も面白かった。
- 謎解きについて考えるとき、ほかのエンターテインメントと比較して相対化すること。
- アドベントカレンダーの最大の楽しみは、その内容もさることながら、普段文章を書かない人の羞恥心とそれでも何かを書かずにはいられないという自意識がないまぜになってにじみ出てしまうところだと思っている。それもみんなとてもよく似た形で。
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限りなくシャワーに近く、ずぶ濡れになるミストサウナ。
- 『こたえは髭です。』で、すごく「スタッフスタッフ」していた南さん。
- 赤塚不二夫生誕80年記念『バカ田大学音楽祭ライブ』2日目、「対バン」となった KIRINJI と 大貫妙子&小松亮太 による、シュガーベイブ『DOWN TOWN』『いつも通り』のカバー。これらは、私と 同行した shiryu くんが DDJDJ でそれぞれプレイした曲だった。
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作詞家・松本隆のスペシャルプロジェクト『風街ガーデンであひませう』DAY 2 のライブにて、「風街レジェンドゲスト」として登場した斉藤由貴。公の場に登場するのがくだんの記者会見から2か月ぶりで、ところどころ涙声かと思わせるような『初戀』『情熱』『卒業』を披露し、恵比寿ザ・ガーデンホールの1500人の観客の度肝を抜いた。
- AnotherVisionのメンバー8人を送り込んだ、と言ってもいい『はじめてのクイズ 11』。
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ときどきミーハーになる私。
- 《ずっとずっとこんなふうに 遊び続けよう》
- 今なお傑作の呼び声高い、内田善美『星の時計のリデル』全3巻 がいま無料で読めると知ったとき。
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画力が気になっていた『左ききのエレン』が、少年ジャンププラスで再連載されていると知ったとき。
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『やれたかも委員会』がドラマ化されると知ったとき。
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留学中の友人から送られてくる「リアルやれたかも委員会」的エピソード。
- 「サラリーマン川柳」より「シルバー川柳」の明るい諦観。
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『アルテイシアの恋愛デスマッチ』
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『ラブホの上野さんの相談室』のお悩み相談
- 小西康陽さんに言われた「DJの選曲でいちばん大事なのは意外性」
- さらに、昨年DJをご一緒したときに小西さんに言われた「きみは、みんなが持っているアルバムの、みんなが忘れている曲をかける」
- 「ありがとうございました! これで、今回のDDJDJ、予定していたセットはすべて終了です。それでは、今日出演してくれたDJを紹介します!」
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「パーティーはいつか終わる」
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「とにかくパーティーを続けよう」
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「マイクロフォンズ」は、簡単な単語ひとつで呼びやすく覚えやすいように、と思って名付けた。あとで海外に同名のバンドがあることを知ったが、気にしないことにした。いつだって名前を付けるのは楽しい。そして私には子供がいない。
- 朝5時近くにラジオから流れた Nara Leao e Tom Jobim『Fotografia』(エンディング・テーマ)
これは、(1stシーズン)謎解きクラスタによる謎以外の Advent Calendar 2017 - Adventar のエントリとして書かれています。
ありがとうございました。またね。
*1:「DDJDJ」にDJで参加してくれた、私と選曲の傾向が似ている大学生がそう呼ばれるようになりました。
問いと答えのリズム、または生活の句読点
(このエントリは、「クイズやる人アドベントカレンダー Advent Calendar 2016 - Adventar」に登録したものです)
一時期、いわゆる競技クイズとその雰囲気を避けていた。
クイズやテレビは好きだけれど、よく知っているわけではないから、一視聴者としての思い出を書く。90年代のTVに巻き起こったクイズ王ブーム、その中でも、ほんの数文字読まれただけで解答ボタンを押し、ごく当たり前のように正解を導き出してしまう早押しクイズは、もはや不可解の領域で、当時高校生だった私は大きな衝撃を受けた。ほかの一般の視聴者もそうだったろう。しかし、その不可解さが続いてしまうと視聴者は置いてけぼりになって、ブームは下火になってしまった。そして、私が18歳になり、出場資格を得られるはずだったテレビ番組『アメリカ横断ウルトラクイズ』は終了、大学に入学して新歓でのぞいてみたクイズサークルはどこか殺伐としており、勝ち負けを競い合うクイズの世界は少なくとも自分に向いていないのだろう、と離れた。
思想家の内田樹が、《早押しクイズは問いと答えの間がどんどんと切り詰められていく無時間モデル。そして、教養は問いに対して、何かひとつお話を思い出す能力》というようなことを言っていたと記憶している。単純に、後者のほうが豊かだと言いたかった、という解釈でいいだろう。たしかにその言説には説得力がある、と今でも思っている。そういえば、それを読んだ時期に見たテレビ番組『高校生クイズ』も、知の甲子園と称していたが、画面に映る高校生たちは、私には優越感と恍惚に押しつぶされそうになりながらどこか不機嫌そうに見え、それはかつてのクイズ王ブームのバリエーションのようでもあり、やや退屈なものぐらいにしか思えなかった。
でもその割にはよく見てるよね、自分。やっぱりどこかクイズを好きだったんだろう。
時間は流れ、テレビ番組『クイズ30~団結せよ!~』で見かけたクイズモンスターこと古川洋平氏主催のクイズイベント『はじめてのクイズ』シリーズがSCRAPのヒミツキチラボで開催された。SCRAPのリアル脱出ゲーム好きな私は、興味津々で出かけていき、結果、チーム初優勝。かつて、早押しクイズにシニカルな態度さえとっていた私は、すっかり舞い上がってしまった。早押しクイズは、いずれ何も残らなくなる「無時間モデル」だと信じていたのに。
単純に誰よりも早くボタンを押して正解を言う行為は、(やったことないけどおそらく)麻薬的に楽しい。中毒性がある。何かに似ていると思った。何だろう。それは私が趣味でやっているDJだった。自分のタイミングでプレイボタンを押すことで、その場の時間を編集して、リズムを生み出しテンポをコントロールすることだった。そしてプレイヤーの知的好奇心に対して、オーディエンスの賞賛も伴っている。(実は、私が主催の一人である初心者向けDJイベント『DDJDJ』は、『はじめてのクイズ』を参考にさせてもらった部分がある)
最近では『アメリカ横断ウルトラクイズ』もCSで再放送され、やはりヒミツキチラボでクイズを体験した若者たちと、鑑賞会をした。伝説の第13回。白熱した戦いにみんなギャーギャーと大騒ぎするほど興奮していた。思い返せば、あの回の早押しクイズの問いと答えのリズムは、完璧なものだったのかもしれない。それはクイズ的に押しのポイントが完璧、とかそういうことではなく、司会・問読みの福留アナウンサーと解答者の掛け合いが生み出すリズムは、クイズをよく知らない人にも理解させて引き込んでしまうような、サービスの塊のように思えた。
クイズには、勝敗を突き詰めたりマニアックに探究したりする面白さもあるけれど、よく知らない人でもカジュアルに楽しめる、優しいリズムを持ったクイズ、そういうものがもっと広まってほしい。ふと「生活の句読点」という言葉を思い出した。それぐらいの位置づけ。調べてみたら、柳生博が司会をしていたテレビ番組『100万円クイズハンター』で生まれたらしい。
ということを書いてアップしようと思ったら、競技クイズ漫画『ナナマルサンバツ』のテレビアニメ化が決定した、というニュースが飛び込んできた。毎週のお楽しみが、いい句読点になりそうな予感がする。
DDJDJについて
(前のエントリからカットイン)
イントロ
これは、 体験型イベント Advent Calendar 2015 - Adventar のエントリとして書かれています。
12月8日に開催された、謎解き界隈初心者DJ体験会 "DDJDJ"(ダレデモデキルジャンディージェイ) vol.3、おかげさまで今回も満員のお客様にお出でいただき、たいへん盛況でした。今年の8月にvol.1を開催し、皆さんの応援のおかげで今年は3回も開催することができました。ありがとうございます。ここで、ご存じない方のために、DDJDJ立ち上げのいきさつと、体験型イベントとしてのDDJDJと謎解きイベントとの対比で、覚え書きにしておきます。
私について
tnb という名前で呼ばれています。謎解きイベント参加歴は5年。ときどき One Shot Label という名前を使ったり使わなかったりしながら、制作のお手伝いもしています。DJ歴は7年半。DDJDJ の主催を、にいみくん(零狐春)と共同でしています。
いきさつについて
私がレギュラーとして参加していたカフェの隔月DJイベント(現在は休止中)に、謎解き界隈の友人たちが多く訪れてくれるようになったのは、今年に入ってからでした。3月の回は、和モノ*1のレコードをかける、というルールがありました。あまりそういうレコードを持っていない私は、いつものJ-POPのレコードを、やっぱりいつも通りにかけていました。それぐらいしか自信を持ってかけられなかったのです。
そのお客さんの中に、にいみくんがおり、私の選曲に強い関心を示してくれながら、こう言いました。「あー、またDJやりたくなっちゃいましたねー。」
詳しく聞いてみると、彼がかつて所属していた企画サークルで、初心者がスベってもいいクローズドなDJイベントというのを「音楽喫茶 茶箱」で二回開いたことがあり、好評だった、とのこと。それを聞いて私は、そうだね、いつか一緒にできたらいいね、という話をして、彼と別れたのでした。
昨年から今年にかけて、私は、ジャズDJ・須永辰緒さんがKADOKAWAのちょくマガ(現在はサービス終了)で連載していた初心者DJ向けメルマガ「サラリーマンDJ養成講座」を受講しており、その中でDJ機材に触ってみようというオフ会を体験しました。そのころ、SCRAPのヒミツキチなどでも「はじめての〜」企画が目立っており、私も僭越ながら、同じように初心者の人をピックアップするDJイベントができないだろうか、と考えていました。私は、DJに遊びに来てくれたことがあり、YMOをきっかけに仲良くなった福地くん(UniBirth)にその話をしたところ、彼との会話の中で、「一人あたり数曲プレイして、DJ機器に触れてみる」というイベントの概要が出来上がっていたのでした。DDJDJ立ち上げのアイデアは、彼のおかげでもあります。
にいみくんにそのコンセプトを話したところ、「いいですね、やってみましょう!」と開催に前向きでした。時期は、学生の試験が終わる時期を考えて8月以降。場所は、
- 会場のレンタルコストが安く、機器も良い。
- すでににいみくんが使用しており雰囲気がわかっている。
- 「1㎡からの脱出」の再演会が行われたことがあり、謎解きにも理解がある。
という点から、「音楽喫茶 茶箱」に決まったのでした。
イベント名について
しばらく経ってから、私とにいみくんは会議を持ちました。イベント名をどうしようか。「はじめての…」を使うと既存のイベントと紛らわしいから避けよう。一発で初心者向けとわかる名前がいい。私はいろいろ単語を用意しました。ビギナー。グリーンボーイ。ドライヴィングスクール。…。しかし、どれもしっくり来ない。
行き詰まってしまったとき、にいみくんが「ダジャレっぽくしてみますか。DとJを頭文字に使って。あ、"誰でもできるじゃんDJ" で、DDJDJってどうですか。」思わず笑ってしまいました。ということは、それだけ力があるということで、そのまま採用しました。
私が「あ、それなら"誰でもできるDJ"にして、DDDJ のほうがすっきりしない?」と提案すると、にいみくんは「いや、じゃん、っていう頭の悪い感じを残したいんですよね」 神奈川県方面の皆さん、本人に代わりまして、お詫び申し上げます。冗談です。
その後、にいみくん*2は、イベントの全体的な運営を、見事なバランス感覚でドライブし、私もその手腕をすっかり信頼するようになるのですが、それはまた別の機会に。
集客について
7月。あとは、DJ募集をかけるだけ。果たして何人来るのか。上限は10人だけど、5,6人来るなら各人30分ぐらいかけながら、のんびり飲み会できるよね。参加者はtnbかにいみくんの知り合い限定にして、それぐらい集まればいいか、と思いながら、こんなふうにツイートしてみたのでした。
《 【DJ&参加者募集】tnbとにいみによる初心者向けDJイベント『DDJDJ vol.1 <ダレデモデキルジャンディージェイ> ~謎はない。音がある。~』応募と詳細はリンク先の伝助まで。(略) 好きな音楽を大きな音でかけよう! #DDJDJ 》
最初に応募したのは、その頃に謎解きイベント制作の第一線を退く予定だった、こんちゃん(UniBirth)でした。引退直後にDJデビュー。その対比がやけに印象に残りました。その後、おそるおそる手を挙げるように、3日で10名のDJが集まりました。
本番について
茶箱は、いわゆる「小箱」なので、人数オーバーにならないようにお客さんの予約も募集したところ、まあまあギリギリ箱が埋まるか、というところでした。本番当日の8月27日(木)、何が起こるか予想しない気分で、主催とDJとお客さんの皆で乾杯してプレイを始めてみたところ、予想以上の選曲やパフォーマンスのうまさに、みな初心者とは信じられないショウケースDJイベントとして成立してしまったのでした。実は、DJみんな、PCやiPhoneアプリを使って選曲のつなぎを作ったりなどして、相当イメージトレーニングを積んだ、と聞きました。謎解き制作者やプレイヤーの、構成力や対応力が、予想もしない形でDJブースとフロアに現れたのでした。
ツイッターでその模様が実況されると、「けっこうサマになってる(笑)」「本当にできるなら私もやってみたい」という口コミが徐々に広まり、vol.2では開始13分、vol.3では開始1分でDJ募集が締め切られる、という事態に。ありがとうございます。希望しているのに、まだ参加できていない皆さん、ごめんなさい。もう少しお待ちください。
謎解きイベントとの違いについて
イベントといえば、私はふだん謎解きイベントに多数参加し、たまに制作を手伝うこともあります。最初に思いついたのは、準備の大変さでした。実際に、私とにいみくんはこんな会話をしました。「謎作らないって、ラクでいいね…」「楽ですね…圧倒的に…」
謎解きイベントならば、ある時期までに構想をまとめ、会場を決め、チームなら役割を分担し、謎やギミックを設計し、それらを現実のものとして制作し、スタッフの動き方を決め、本番でお客さんをフォローし、終わったら復旧し…、という、相当に手間のかかることをするでしょう。長期にわたって手をかけたかいあって、丁寧に作り上げられた仮想の世界が立ち上り、お客さんを非日常に連れて行くイベントが成立するのでしょう。
一方、DJイベントはどうか。会場と機材を用意すれば、あとはDJが音源を持ってきてくれます。音源準備は極端な場合、数分で終わってしまうこともあります。長い時間をかける必要はまったくありませんが、そのかわり、求められるのは、選曲にまつわる記憶を呼び覚ますような、瞬間のひらめきです。そういえば、今日はある作家が亡くなった。追悼する意味で、彼が過去に出していたレコードをかけてみよう。今月はクリスマスだから、かっこいいジングルベルをかけてみよう。ひとり前のDJがかけている曲に関連するような曲を持ってきていたはずだから、構成を変えて一曲目にかけてみよう、など。ちょうど大喜利のような。お題となるテーマを考えて、当たれば大受け。
この時間感覚の違いが、もっとも大きなものではないか、と私は感じています。
謎解きイベントとの共通点について
それでは、共通点は?
以前、私が小西康陽さんのDJに遊びに行った時、お話するチャンスがありました。そのとき、小西さんにこう言われました、
「tnbくん、DJで大事なのは、意外性だよ。」
たしかに小西さんの選曲は、この曲とこの曲がつながるんだ、という笑ってしまうほどの意外性があり、当時はなるほど、と思って聞いていました。
そして、謎解きイベントに参加し始めた時、予想を裏切る数々の謎や仕掛けと、それらが解けた時に繋がる爽快感は、その根底に意外性に対する驚きも含まれているということに気づきました。
意外性、というのが、どうやら鍵になっているのではないか。ということを、さっきまで自分だけの感想と思っていたのですが、たまたま、昨年の 体験型イベント Advent Calendar 2014 - Adventar での、パズラーさんのエントリ 謎の本質を追うことで見える「すべて」の話 - パズルは謎じゃない に《謎とは意外性である》と定義されていたのを見つけました。*3 そんなに、私のセンスも間違っていないかもしれませんね。
そういえば、DDJDJのクルーでスタジオ練習会をしたとき、DJキングスライムこと、かいちょさんがかけたディープ・パープルの『BURN』から、私がCymbals の『Higher than the Sun』にカットイン*4でつないだとき、周りから「おおー!」という歓声が上がり、本当に気分が良かったです。謎解きイベントの解説で、ラストの大仕掛けの種明かしでどよめきが上がるのに勝るとも劣らない、と言ったら、調子に乗りすぎですか。
これからについて
DDJDJは、ありがたいことに、皆さんの口コミだけで、キャパシティがあっという間に埋まってしまう、という状況です。でも、行きたいのに行けなかった、という声も聞くようになり、何とか応えたいとも思っています。何かいいアイデアがあったり、いいハコの情報があったら、ぜひ私たちに教えてくれませんか。うまくいったら、一緒に楽しい音楽をかけたり聴いたりしながら、乾杯しましょう。選曲のアイデアがあれば、きっとすぐにDJとして参加できますよ。ダレデモデキルジャンディージェイ、ですから。
アウトロ
最初は短くまとめるつもりだったのに、結局、かなり長くなりました。
やっぱり適度にまとまっているのがいいよね。次の曲につなぎやすいし。
ポップソングなら、3分ぐらい。
謎解きなら、765秒? それとも20分?
バイバーイ。
(次のエントリとクロスフェード)
Real Escape Game in Singapore Vol.1 "Escape from the Mysterious Cathedral" (謎の聖堂からの脱出)参戦記
開始前
1月29日。それでもシンガポールは暑い。日本でいう猛暑そのもの。この日はオーチャード植物園で蘭を見に行った。その後、リトル・インディアでタンドリーチキンとマトンカレー。昨日お会いした、シンガポールに異動してきた先輩の忠告通り、マトンでも十分辛かった。寺院もゆっくり見てみたかったが、16時30分から開始の「リアル脱出ゲーム」の時間が迫っていた。
MRT(地下鉄)で City Hall 駅を降り、少し歩くと、会場のチャイムズ・ホールが見えてきた。こちらは裏口。中を通って表口へと向かう。
正面では受付が始まっていた。入り口には、SCRAP代表・加藤氏の姿が。
「ようこそ。こんなところでお会いするとは」
こんにちは。今日は楽しみに来ました。
「あの実は、今回は日本の『ベスト・オブ・過去問』という感じで作っているので、解くときは空気読んでくださいね」
(お、これが噂に聴いていた、『空気読んでくださいね』か ) はい、わかりました。
聖堂、いいですね。いつも思うけど、会場の雰囲気がいいと、半分成功したようなものだよね。
番号札をもらって指定されたテーブルにつくと、待っていたのは、日本人のお母さんと14歳兄、11歳弟、その友達の4人。あ、よかった。先輩におどかされていた「Singlish問題」は回避された。聞けば、日本語フリーペーパー*1に宣伝が載っていたので来てみたが、何をどうしていいのかわからず不安だった、という。わかりました、任せておいてください!と、いつものように取り敢えず言ってしまう。今回の方針は決まった。
- 原則、問題は、親子のみなさんに解いてもらう。
- 私が答えをまとめ、情報整理を行う。
- それでも残る問題で、自分が知らなければ解く。
これで空気を読んだことにはなるだろう。
少年たちは、やっぱりというか、名探偵コナン(というより怪盗キッド)が大好き。テーブルの上の宝箱を前に、始まる前からそわそわしっぱなし。お母さんによれば、シンガポールに来て2年以上経ち、そろそろ日本に戻る可能性も出てくるかもしれない、とのこと。少年たちに「今までにどこから脱出したことありますか?」と質問され、東京ドームとか、と答えると、「えー、行きたーい」とレスポンス。今日は間違いなく良いゲームになるだろう。
開始
照明が落ち、司会のJonny Lee氏はやっぱりイケメン。SCRAPはそういう決まりがあるに違いない。5人中3人が納得したら、とか。今回は、舞台の後ろにある戸口に青い帽子のゲートキーパーがいるので、正しいキーワードを見せれば脱出成功とのこと。日本では、窓をあけないでください、恐ろしい現実世界が目に入ってしまいます、という注意があるのだが、こちらでは、冷たい空気が逃げてしまいます、と言っていた。シンガポールならでは。最後に「最も大切なものは、最も近くにある」とヒントを言っていた。
前半戦
まずは、配られた封筒と、会場内にバラまかれた問題を集め、解答用紙の左側の空欄を埋める。
Q1. "154524(←白)"と書かれている。お母さんと少年がうーん、とトライしていたが難航。色と数字の組み合わせを考えるといいんじゃないんですか、とアドバイス。答えは、Red の1文字目"R"、Yellow の5文字目"O" と組み合わせて、"ROCKET"(ロケット)。
Q2. 塗り絵。少年たちが、一緒に渡された番号付き色鉛筆を使って、同じ番号の枠を塗りつぶしていく。出てきたのは "WHALE"(くじら)。
Q3. 壁に吊り下げられた札。少年「なんだこれ?」26が共通して出てくるところに着目するといいんじゃないかな。少年「…。あ、そうか。」それぞれアルファベットの順番を示している。順番に並べて、"ROCK"(岩)。
Q4. "赤に隠れている動物を見つけ出すことができますか?" お母さん「あ、これライオンって読めますね。」"NO17"を上下逆にして、"LION"(ライオン)。
Q5が見つからない。あれ、ステージ上手横のこの部屋は? …。あ、この中は入っていいのか。
Q5. "中の単語全てを使ってしりとりを作ってください。真ん中の単語は何?"
year → road → dead → door → rose → east → trip → post → taxi で、"ROSE"(ばら)。これは少年たちがすぐに解いていた。
Q6. 解答用紙の右側のマス目に、配られた木片を合うように組み合わせる。
じゃ、やってみて(私は苦手だから)。少年「(5分後) できた!」指定された番号の下の文字を拾うと、"TIME"(時間)。
Q7. 魔方陣。少年に任せるが、途中で行き詰ってしまった。2つ残ったマスは、2つの和の組み合わせを考えて、パターンを絞っていくといいよ、と教えると、「ありがとう、天才だね!」とほめられた*2。うう(泣)。14・9・10・2・16の順に並べると、"MAGIC"(魔法)。
Q8. "LIZARD"、"FLY"、"FIRE"。連想できる単語は"DRAGON"(龍)。これは私が解いた。
Q9.ヒモがあり、端にSとGのマークがついている。Q5で見つけた部屋の中に筒があった。SとGのマークを合わせて巻きつけると、字が浮かび上がる。"NEST"(巣)。
Q10. (写真なし) 迷路。正解を書くと絵が浮かび上がる。トサカがあり、二本足。7文字だから"CHICKEN"(にわとり)か? いや、シンガポールだから"MERLION"(マーライオン)? 最後までわからなかった。正解は"PENGUIN"(ペンギン)だったのだが、みんなわからなかったらしく、正解発表時も会場がザワザワしていた。静かな抗議(笑)。
Q11.上下で順番になるようにアルファベットを埋めると、真ん中の列にキーワードが浮かび上がる。"NILE"、"AMAZON"、"MISSISSIPPI"から連想される言葉は、"RIVER"(川)。お母さんが一生懸命書き写してきたのが印象的だった。
Q12."Remove the Pairs"(ペアを取り除け) モニタの裏に貼られた単語を集め、ペアとなる文字を消して並べ替えると、"DREAMS"(夢)。
英語圏ならでは
この時点で30分経過していた。すべての答えを埋め、黄色いマスを読むと、"CHRISTMASEVE"(クリスマス・イヴ)となる。そこから導き出される数字は、もちろん12月24日で"1224"。机の宝箱の4ケタ番号錠を合わせてみる…。あれ、開かない?! 何でだろう? しばらく悩んでいると、
少年「あ、そうか。ここは英語圏だから、日が先なんですよ!」
あー! そういうことね! それは思いつかなかった。"2412"と合わせてみる…。開いた!
全員「やったー!」
後半戦
宝箱からは、一枚の紙が出てきた。
Make the sun and the moon kiss (太陽と月をキスさせろ)
たしか、こんな内容だった。
少年「あ、解答用紙に太陽と月があるじゃない。これをくっつけるのか。」
入り口を見れば、赤い帽子をかぶった加藤氏とアシスタントさんが。さ、君たち、ウィンクしておいで!
加藤氏「はい、通っていいですよ!」
このとき、先行しているチームがいくつか。よかった。私は、自分が空気が読めているかどうかだけが、心配だったのだ(笑)。
最後の謎
ホール外の通路には、こんな札が立てかけられていた。
"Search below CHIJMES" (CHIJMESの下を探せ)
あ、これか。リアル脱出ゲーム常連ならお馴染み*3。ここは黙っていよう。少年たちや他のプレイヤーは、他の場所を探したり、窓の外を覗き見ようとしたり。
一人席に戻って考えている(答えの確認をしている)と、少年たちとお母さんが集まってきた。「うーん、わからないねえ」と悩んでいる。ここは、もう何も言わず、このまま時間切れで失敗しても仕方ない、ということにしよう。
と思っていたら。
少年(14歳兄)「これさあ、文字の下とか探すんじゃないの」
(え、もう気づいたのか。ミスリードするわけにもいかないし。) どういうことかな?
少年(14歳兄)「"CHIJMES" って文字の下。」
へえ、それはどこにあるんだい? (温厚な人生の先輩顔)
少年(14歳兄)「あ、解答用紙のQ6のところとか。」
じゃ、やってみたらいいんじゃないかな。(としか言いようがないだろ、もはや。)
少年(14歳兄) 「じゃ、順番に言うんで書いてくれますか?」
…こうなったよ。
"GATEKEY"
じゃ、これを最終解答で持って行ってみよう、と青い帽子のゲートキーパーに見せる少年たち。私は横からそんな光景など写真撮影したりして。
ゲートキーパー「Congratulations!」
全員「うぉー!」
脱出成功!
扉はそのまま楽屋につながっており、少年たちはみな興奮さめやらず、キャッキャッとアンケートに答えていた。所要時間は40分〜45分ぐらいか。まだ後続チームがない。ちょっと助けすぎたのかなあ、と思っていたら、残り3分で金髪のお兄さんとアジアン系女性4人グループが入ってきた。グループはみんな大興奮で抱き合い、我々も巻き込んでのハイタッチ。大人がこんなに興奮するゲーム、やっぱりなかなかお目にかかれない。
脱出成功2チームは、入り口上部のコテージにて勝ち名乗りを受けた。司会のJonnyがインタビューで、14歳が最後の謎を解いたと知り、「14歳が解けたのに、みなさん大人は…」と会場の笑いを誘っていた。シンガポールのお客さんは静かにアンケートを書いていて、日本とは違った礼儀正しさと真剣さが伝わってきた。
結局、今回のチケットは全て売れたようで、Vol.2 が5月に決まったらしい(今度はショッピングセンターが立ち並ぶオーチャードのあたり?)
少年たち「わー!絶対つぎも行くよね!tnbさん、今度も来てください!」
えー、また空気読まなきゃいけなくなるからなあ(笑)。でも、その一言を聴けただけでも、一緒に参加したかいがあるというもの。私はともかく、君たちのようにこのゲームに出会うべき人は、きっと世界中にたくさんいるはずだ。そんなことを実感できる瞬間に立ち会えたことが、最大の収穫だったかもしれない。
みんなで加藤氏と記念撮影。その後、お母さんと少年たちは、別の用事があるということで、ここでお別れ。
少年たち「ありがとうございました!楽しかったです!」
素直でいい子たちだったなあ。また、どこかで一緒に遊べるといいね。
さ、これからマリーナベイサンズのカジノをやりに行こうっと。
参考
RAZORTV にも参加映像レポートが上がっている。他のプレイヤーはこんな感じだったのか。
http://www.razor.tv/site/servlet/segment/main/lifestyle/73434.html (Pt.1)
http://www.razor.tv/site/servlet/segment/main/lifestyle/73432.html (Pt.2)
http://www.razor.tv/site/servlet/segment/main/lifestyle/73430.html (Pt.3)
2010年9月2日の覚書
キリンジの新しいアルバム『BUOYANCY』を聴いているが、まだよくわからない。曲の構成も音も今までとは違う。時間がかかる。すぐに魅力がわかる人を尊敬する。
mp3プレイヤーがちょっと不調。ちょうどアップルが新iPodのラインナップを発表。買い換えようか、と欲が出始めた頃が楽しい。
会社のビルに入っているコンビニで会計を済ませたら、後ろの男「えーと、あまりおいしくないピザまんと、あまりおいしくないあんまんください!」店員「(冷静に)ピザまんとあんまんですね」いろいろと怖くなって逃げた。
一緒にチームを組んでいる営業さん私より少し年下で、目がはっきりした二重だ。出張に行ってきた同僚の女性営業によれば、出張先で彼が格好いい、と一部の女性の間で話題になり(社内アドレス帳には写真が載っている)、子供が生まれたばかり、と知ると、なあんだ、という空気が流れたらしい。やっぱり世間はそうなっているのか。私は写真を掲載し続けないままにしようと思う。
会社で、サーバー仮想化の担当者になりつつある。VCP4認定試験をがんばりまーす。
結局、自宅のPCはUSB接続機器をつなぎ替えたら回復した。何なんだこれは。でも作業中にPCが立ち上がらなかったときは一瞬ヒヤリとし、前の職場の後輩を電話でいじめた罰か、と本気で反省した。
BUOYANCY…ボイエンシー。浮力。
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