Real Escape Game in Singapore Vol.1 "Escape from the Mysterious Cathedral" (謎の聖堂からの脱出)参戦記

開始前


1月29日。それでもシンガポールは暑い。日本でいう猛暑そのもの。この日はオーチャード植物園で蘭を見に行った。その後、リトル・インディアでタンドリーチキンとマトンカレー。昨日お会いした、シンガポールに異動してきた先輩の忠告通り、マトンでも十分辛かった。寺院もゆっくり見てみたかったが、16時30分から開始の「リアル脱出ゲーム」の時間が迫っていた。

MRT(地下鉄)で City Hall 駅を降り、少し歩くと、会場のチャイムズ・ホールが見えてきた。こちらは裏口。中を通って表口へと向かう。

正面では受付が始まっていた。入り口には、SCRAP代表・加藤氏の姿が。

「ようこそ。こんなところでお会いするとは」
こんにちは。今日は楽しみに来ました。
「あの実は、今回は日本の『ベスト・オブ・過去問』という感じで作っているので、解くときは空気読んでくださいね」
(お、これが噂に聴いていた、『空気読んでくださいね』か ) はい、わかりました。




聖堂、いいですね。いつも思うけど、会場の雰囲気がいいと、半分成功したようなものだよね。
番号札をもらって指定されたテーブルにつくと、待っていたのは、日本人のお母さんと14歳兄、11歳弟、その友達の4人。あ、よかった。先輩におどかされていた「Singlish問題」は回避された。聞けば、日本語フリーペーパー*1に宣伝が載っていたので来てみたが、何をどうしていいのかわからず不安だった、という。わかりました、任せておいてください!と、いつものように取り敢えず言ってしまう。今回の方針は決まった。

  1. 原則、問題は、親子のみなさんに解いてもらう。
  2. 私が答えをまとめ、情報整理を行う。
  3. それでも残る問題で、自分が知らなければ解く。

これで空気を読んだことにはなるだろう。

少年たちは、やっぱりというか、名探偵コナン(というより怪盗キッド)が大好き。テーブルの上の宝箱を前に、始まる前からそわそわしっぱなし。お母さんによれば、シンガポールに来て2年以上経ち、そろそろ日本に戻る可能性も出てくるかもしれない、とのこと。少年たちに「今までにどこから脱出したことありますか?」と質問され、東京ドームとか、と答えると、「えー、行きたーい」とレスポンス。今日は間違いなく良いゲームになるだろう。

開始

照明が落ち、司会のJonny Lee氏はやっぱりイケメン。SCRAPはそういう決まりがあるに違いない。5人中3人が納得したら、とか。今回は、舞台の後ろにある戸口に青い帽子のゲートキーパーがいるので、正しいキーワードを見せれば脱出成功とのこと。日本では、窓をあけないでください、恐ろしい現実世界が目に入ってしまいます、という注意があるのだが、こちらでは、冷たい空気が逃げてしまいます、と言っていた。シンガポールならでは。最後に「最も大切なものは、最も近くにある」とヒントを言っていた。

(答えがもう書きこまれているけど、気にしないでね。何で裏面が縦に出るんだろ。)

前半戦

まずは、配られた封筒と、会場内にバラまかれた問題を集め、解答用紙の左側の空欄を埋める。


Q1. "154524(←白)"と書かれている。お母さんと少年がうーん、とトライしていたが難航。色と数字の組み合わせを考えるといいんじゃないんですか、とアドバイス。答えは、Red の1文字目"R"、Yellow の5文字目"O" と組み合わせて、"ROCKET"(ロケット)。

Q2. 塗り絵。少年たちが、一緒に渡された番号付き色鉛筆を使って、同じ番号の枠を塗りつぶしていく。出てきたのは "WHALE"(くじら)。

Q3. 壁に吊り下げられた札。少年「なんだこれ?」26が共通して出てくるところに着目するといいんじゃないかな。少年「…。あ、そうか。」それぞれアルファベットの順番を示している。順番に並べて、"ROCK"(岩)。

Q4. "赤に隠れている動物を見つけ出すことができますか?" お母さん「あ、これライオンって読めますね。」"NO17"を上下逆にして、"LION"(ライオン)。


Q5が見つからない。あれ、ステージ上手横のこの部屋は? …。あ、この中は入っていいのか。

Q5. "中の単語全てを使ってしりとりを作ってください。真ん中の単語は何?"
year → road → dead → door → rose → east → trip → post → taxi で、"ROSE"(ばら)。これは少年たちがすぐに解いていた。

Q6. 解答用紙の右側のマス目に、配られた木片を合うように組み合わせる。
じゃ、やってみて(私は苦手だから)。少年「(5分後) できた!」指定された番号の下の文字を拾うと、"TIME"(時間)。

Q7. 魔方陣。少年に任せるが、途中で行き詰ってしまった。2つ残ったマスは、2つの和の組み合わせを考えて、パターンを絞っていくといいよ、と教えると、「ありがとう、天才だね!」とほめられた*2。うう(泣)。14・9・10・2・16の順に並べると、"MAGIC"(魔法)。

Q8. "LIZARD"、"FLY"、"FIRE"。連想できる単語は"DRAGON"(龍)。これは私が解いた。

Q9.ヒモがあり、端にSとGのマークがついている。Q5で見つけた部屋の中に筒があった。SとGのマークを合わせて巻きつけると、字が浮かび上がる。"NEST"(巣)。

Q10. (写真なし) 迷路。正解を書くと絵が浮かび上がる。トサカがあり、二本足。7文字だから"CHICKEN"(にわとり)か? いや、シンガポールだから"MERLION"(マーライオン)? 最後までわからなかった。正解は"PENGUIN"(ペンギン)だったのだが、みんなわからなかったらしく、正解発表時も会場がザワザワしていた。静かな抗議(笑)。


Q11.上下で順番になるようにアルファベットを埋めると、真ん中の列にキーワードが浮かび上がる。"NILE"、"AMAZON"、"MISSISSIPPI"から連想される言葉は、"RIVER"(川)。お母さんが一生懸命書き写してきたのが印象的だった。





Q12."Remove the Pairs"(ペアを取り除け) モニタの裏に貼られた単語を集め、ペアとなる文字を消して並べ替えると、"DREAMS"(夢)。

英語圏ならでは

この時点で30分経過していた。すべての答えを埋め、黄色いマスを読むと、"CHRISTMASEVE"(クリスマス・イヴ)となる。そこから導き出される数字は、もちろん12月24日で"1224"。机の宝箱の4ケタ番号錠を合わせてみる…。あれ、開かない?! 何でだろう? しばらく悩んでいると、

少年「あ、そうか。ここは英語圏だから、日が先なんですよ!」

あー! そういうことね! それは思いつかなかった。"2412"と合わせてみる…。開いた!

全員「やったー!」

後半戦

宝箱からは、一枚の紙が出てきた。

Make the sun and the moon kiss (太陽と月をキスさせろ)

たしか、こんな内容だった。

少年「あ、解答用紙に太陽と月があるじゃない。これをくっつけるのか。」

ぐねぐねと解答用紙を折り曲げてみると…、文字が出てきた!

WINK AT RED HAT (赤い帽子にウィンクしろ)

入り口を見れば、赤い帽子をかぶった加藤氏とアシスタントさんが。さ、君たち、ウィンクしておいで!

加藤氏「はい、通っていいですよ!」

このとき、先行しているチームがいくつか。よかった。私は、自分が空気が読めているかどうかだけが、心配だったのだ(笑)。

最後の謎

ホール外の通路には、こんな札が立てかけられていた。

"Search below CHIJMES" (CHIJMESの下を探せ)

あ、これか。リアル脱出ゲーム常連ならお馴染み*3。ここは黙っていよう。少年たちや他のプレイヤーは、他の場所を探したり、窓の外を覗き見ようとしたり。

一人席に戻って考えている(答えの確認をしている)と、少年たちとお母さんが集まってきた。「うーん、わからないねえ」と悩んでいる。ここは、もう何も言わず、このまま時間切れで失敗しても仕方ない、ということにしよう。

と思っていたら。

少年(14歳兄)「これさあ、文字の下とか探すんじゃないの」
(え、もう気づいたのか。ミスリードするわけにもいかないし。) どういうことかな?
少年(14歳兄)「"CHIJMES" って文字の下。」
へえ、それはどこにあるんだい? (温厚な人生の先輩顔)
少年(14歳兄)「あ、解答用紙のQ6のところとか。」
じゃ、やってみたらいいんじゃないかな。(としか言いようがないだろ、もはや。)
少年(14歳兄) 「じゃ、順番に言うんで書いてくれますか?」
…こうなったよ。
"GATEKEY"

じゃ、これを最終解答で持って行ってみよう、と青い帽子のゲートキーパーに見せる少年たち。私は横からそんな光景など写真撮影したりして。

ゲートキーパー「Congratulations!」
全員「うぉー!」

脱出成功!

扉はそのまま楽屋につながっており、少年たちはみな興奮さめやらず、キャッキャッとアンケートに答えていた。所要時間は40分〜45分ぐらいか。まだ後続チームがない。ちょっと助けすぎたのかなあ、と思っていたら、残り3分で金髪のお兄さんとアジアン系女性4人グループが入ってきた。グループはみんな大興奮で抱き合い、我々も巻き込んでのハイタッチ。大人がこんなに興奮するゲーム、やっぱりなかなかお目にかかれない。

脱出成功2チームは、入り口上部のコテージにて勝ち名乗りを受けた。司会のJonnyがインタビューで、14歳が最後の謎を解いたと知り、「14歳が解けたのに、みなさん大人は…」と会場の笑いを誘っていた。シンガポールのお客さんは静かにアンケートを書いていて、日本とは違った礼儀正しさと真剣さが伝わってきた。

結局、今回のチケットは全て売れたようで、Vol.2 が5月に決まったらしい(今度はショッピングセンターが立ち並ぶオーチャードのあたり?)

少年たち「わー!絶対つぎも行くよね!tnbさん、今度も来てください!」

えー、また空気読まなきゃいけなくなるからなあ(笑)。でも、その一言を聴けただけでも、一緒に参加したかいがあるというもの。私はともかく、君たちのようにこのゲームに出会うべき人は、きっと世界中にたくさんいるはずだ。そんなことを実感できる瞬間に立ち会えたことが、最大の収穫だったかもしれない。

みんなで加藤氏と記念撮影。その後、お母さんと少年たちは、別の用事があるということで、ここでお別れ。

少年たち「ありがとうございました!楽しかったです!」

素直でいい子たちだったなあ。また、どこかで一緒に遊べるといいね。

さ、これからマリーナベイサンズのカジノをやりに行こうっと。


参考

RAZORTV にも参加映像レポートが上がっている。他のプレイヤーはこんな感じだったのか。
http://www.razor.tv/site/servlet/segment/main/lifestyle/73434.html (Pt.1)
http://www.razor.tv/site/servlet/segment/main/lifestyle/73432.html (Pt.2)
http://www.razor.tv/site/servlet/segment/main/lifestyle/73430.html (Pt.3)

*1:フリーペーパーは、現地では強力なメディアらしく、同じようにして知り、やって来たと思われる日本人もちらほら見かけた。

*2:成城大学の謎解きで、小学2年生が天才とほめてくれた以来。子供は私にやさしい。

*3:それなのにどうしてリアル捜査ゲームVol.1の最後がわからなかったんだろう、と独り言。