ゆとる
定食屋を出るときに、レジには大学生になりたてぐらいの若い兄ちゃんが立っていた。
さんま定食を頼んで、724円だった。1030円を出すと、296円のおつりだった。10円玉を2枚しか出していなかったからだった。兄ちゃんはもう小銭を山ほど出していたので、仕方なくそのまま受け取った。
間違ったのはこっちだとしても、「もう10円ございますか」と何で訊かないのか。なんで1000円で済むところに20円出してるか、意味を考えていないのだろう。そのとき心に浮かんだ言葉が
「ゆとってんじゃねーよ」
だった。「ゆとり」を動詞化した、ネット上でときどき見かける悪口である。
この場合の「ゆとり」とは、ゆとり教育を受けたゆとり世代を指す。引用先は、Wikipediaで、問題ないと思う。
2ちゃんねるなどのインターネット・コミュニティでは、
ゆとり世代の平均的な国語、算数(数学)、理科、社会の
統一試験のおおむね低調とされる結果を引き合いに出し、
「ゆとり世代」を略した「ゆとり」という語が侮蔑的に使用される。
実際は学力の低下よりも、
人間性、理解力の稚拙さを揶揄する際に用いられることが多い。
(略)
当初の使われ方であった気に入らない相手を
「ゆとり世代」と決めつけて非難するための言葉として
使われることが大半であるため、
無条件で世代ごと責任を転嫁され見下される形となる
若年層は当然ながら反発を起こしている。
(ゆとり世代 - Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%86%E3%81%A8%E3%82%8A%E4%B8%96%E4%BB%A3
もちろん、気が利かない、ということと、学力の高低の間に因果関係はない。(そもそも、ゆとり教育=学力低下というのも本当かどうかはわからない) ふとそんな言葉を、口に出さなかったとはいえ、心に浮かんでしまった自分を、ちょっとよくないんじゃないの、と責めた。
ちょっとね。
しかし、毎日新聞の携帯アンケート「日本のスイッチ」11月5日版で、
問4.「ゆとり」という言葉から、今受ける印象は
□いい感じ
□ダメな感じ
(日本のスイッチ -11/5版- - えびすうた -blog-)
http://plaza.rakuten.co.jp/ebisuuta/diary/20071105/
で、「ダメな感じ」を選んだ回答は約8割だった。「ゆとってんじゃねーよ」は、自分の中に生まれたネガティヴな気持ちを理屈ぬきで、しかし的確に表現できていて、それは共有できる。
大げさとは思うが、そういう言葉を使っているうちに、ネガティヴな気持ちに自分が取り込まれてしまうのを、必要以上に警戒しているのだった。「ありえない」「うざい」など。
そういうことを最初に意識したのは、中学生ごろに聞いた
「むかつく」*1
だった。
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*1:参考: むかつく - 日本語俗語辞書: http://zokugo-dict.com/33mu/mukatuku.htm