南天夢譚 / ジャック・タチの優しい夜

今日は昭和ダンス・パーティーの日で、その前には渋谷のハイファイ・レコードストアに寄るようにしている。行くと、店長の松永さんが「じゃあ、パーティーの邪魔にならないぐらいに」と、すたすたと新入荷の段ボール箱に近づき、レコードを取り出した。いや、今日はこのまえ約束したラジオのエアチェックを渡しに来ただけなのですが、とは言えず、結局5,6枚試聴する破目になった。

その中で良かったのは、ビル・エヴァンスのオーケストラ編成のラウンジ・ジャズで(松永さん曰く「迷っていた時期」の作品)、音も優れていたが、中に入っているスタンダードの"Laura"が好みではなかったので、躊躇していた。そうしたら、表題のCDを薦められた(http://homepage2.nifty.com/officesasaki/tati/nanten.html)。ロングセラーだよ、この店でしか買えないよ、と言われて、つい「買います」といってしまった。さんざんレコードを試聴して躊躇しておきながら、聴いてもいないCDをすぐに買ってしまうのは、矛盾しているとしかいえない。そんな自分については、今度反省することにしよう。

CDの内容は、ピアノ、フルート、メロディオンを中心として、静かな、またはのんびりとかわいらしいインストゥルメンタルがあったり、「ぼくの伯父さん」の日本語詞によるカヴァーありで、その編成はさまざま。オリジナルの楽しげな雰囲気からさらに解釈の広がりを見せてくれるような、そんなトリビュート盤である。落ち着いた気分で聴けるので、ロングセラーになっているのも納得できるような内容。自分が特にすきなのは、マリンバ演奏を中心としたメドレー「TATIVILLE Tour」である。軽快なリズムで細かい音がたくさん積み重なっていて面白い。