いいかげん図書館に返しに行かなければならないので

人生における成功者の定義と条件

人生における成功者の定義と条件

id:rararapocari:20050224#sagasi の「自分探し」の話を読んだときに、ちょうど自分が読んでいた本。
『続・13歳のハローワーク』とでも言うべき内容。『13歳…』で「日本社会で流通する言葉と概念の文脈が古い」と気づいた著者が、次にとりあげた言葉は「成功者」だった。NHKの特番の再録も含め、5人との対談を収録。はじめの建築家の安藤忠雄氏との対談で、すでに説教されているような感あり。そして、この本のテーマは、利根川進氏のこの一言でまとめられるように思う。

利根川「ある目標があって、そこへ向かって一生懸命努力しているときに、人間はハッピーに感じるんです。それで目標に到達しちゃうと、もうハッピーじゃないんですよ。次の目標が必要になってくる。」
(略)
村上「でも逆に、わくわくするような目標がない人は、永遠にハッピーになれないということじゃないですか。」
利根川「なれないですね。」

7月24日通り

7月24日通り

同じ作家の作品を続けて読む癖があるので、これを読んだ。20代で、地方都市に住む女性が、ここではないどこかを想像しながら、しかしどこに行くこともなく生活していく、そんな恋愛小説。さまざまな人に出会うなかでの彼女の内面の変化を、1人称で描いていく。おそらく女性は読んでいて、共感してうなずく場面が多いのではないだろうか。そして、各章のタイトルにもちょっとした仕掛けがある。『東京湾景』でもそうだったが、ヒロインが何かを決断するところで終わっている。そこに希望が込められているので、読後感がさわやかな小説になっていると思う。彼の小説をはじめて読む人は、『パレード (幻冬舎文庫)』よりは、こちらがいいかもしれない。

動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)

動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)

ポストモダンの話題(id:rararapocari:20050215)で、小西康陽に関連付けて読んでみてほしい、といわれたので、読んでみた。「二次創作」「虚構重視」「シミュラークルとデータベース」「物語重視とデータベース重視」などキーワードの並びは面白そうだったが、でも、まだよくわからない。本の内容がアニメとゲームを中心に進んでいくことも関係しているかもしれないが、これを読んだだけでは、何も語ることができない。音楽とポストモダンのつながりについては、別の書籍があればあたってみたい。