平田オリザ『演劇入門』

演劇入門 (講談社現代新書)
少し前に図書館で借りて読んだ本。伊集院光のラジオ番組にゲストで出ていて、この本が話題になっていた。

内容は、「リアル」な演技とは何か、というテーマを中心として進む。もう返却してしまったから、詳細な内容には触れられないが、キーワードをひとつあげるとしたら、「コンテクスト」(一般には、文脈という意味で使われる)だろう。

思い出しながら書くと、人はそれぞれコンテクストを持っていて、演出家のコンテクストを、役者が自分のコンテクストの中に取り入れて表現し、それを見た観客が自分のコンテクストを変容させていく。たとえば、あるセリフを説明的だと感じるなら、それは送り手のコンテクストの押し付けを、受け手のコンテクストが拒否している、というようなことだ。ほかにもいろいろあるのだが、自分に最も印象深く残ったのは、上のような事柄だった。

これは、芸術でもコミュニケーションでも、自分が受け入れや共感の可否を判断したとき、その理由を考えるのに、「コンテクスト」は、いいヒントになりそうだと思った。でも、広い概念だから、気をつけて扱わないといけない。わざわざ簡単な話を、コンテクストの話に無理やり結び付けてしまって、よくわからなくなったりとか。今も、少しそんな感じになっている。