ふと思い出したこと。今年も『test the nation』というIQテストの番組をやっていて、そういうのは喜んで挑戦するのだが、スタジオには、同じようにたくさんの観客がテストに挑戦していた。司会の古館伊知郎が、高得点をたたき出した東大生や官僚に対し、コメントを求めたのだが、彼らはこう答えた。「勘です。」答えるのが面倒なのか、謙遜しようと思ったのか、よくわからないが、もっともセンスのない回答だと思った。なぜ、「こういうのは得意です」とか、「好きです」といった、正直な感想を言わないのだろうか。

コメントといえば、また思い出したが、今年の新日本プロレスのシングル最強決定リーグ戦『G1クライマックス』を見に行ったときのこと。休憩中に、新社長の草間氏が挨拶するのだが、観客からは大ブーイングが起こった。文章を淡々と読み上げるだけで、「この人は、プロレスに関心がない」というのが伝わってしまっていた。

ほぼ日刊イトイ新聞』にも連載を持っている、山田ズーニー氏の『あなたの話はなぜ「通じない」のか』は、コミュニケーションのテクニックだけでなく、何のためにコミュニケーションをとるのか、という根本思想までを明らかにしようとする名著だと思う。最近、人の話を聞いていて、この根本思想というものが気になる。他人の文章を読んでいても、自分の文章を書いていても同じだ。それについては、またいずれ。