本当の「公正世界仮説」
朝青龍が負けた一番のとき、観客が座布団を投げていた。(危ないだろ。あれは見てると不愉快だ) わかりやすい勧善懲悪。
あ、思い出した。
朝青龍の場合とは違うのだが、いじめの話題が出たとき、「いじめられるほうにも原因がある」ということを言う人がいる。
もちろん原因があるからと言って、いじめることの正当化にはならないが、なぜそういうことを、事情を知らない無関係な人でさえも言ってしまうのか、ずっと不思議に思っていた。
私が E.B.ゼックミスタ と J.E.ジョンソンの『クリティカル シンキング <<入門編>>』を読んでいたときのこと。
クリティカル・シンキングとは、<<適切な基準や根拠に基づく、論理的で、偏りのない思考>> と定義されている。その技術を身につけると、正確な判断を下したり、人に騙されなくなったり、というメリットがある。
その中で「公正世界仮説」というものが紹介されていた。
これはわれわれが暗黙のうちに仮定している考え方で、世の中は公正にできており、正しい者は救われ、悪しき者は必ず罰を受けるはずだという因果応報的な考え方がその基礎になっている。さらに、これを逆から考えて、誰かがなんらかの被害を受けた場合に、それはその人にその被害を受けるに値するだけの罪があったからだという理屈が生まれる。
なるほどねー。(以前、「公正世界仮説」というタイトルでふざけたエントリを書いたが、こっちが本当の意味である)
ひょっとして、この仮説が歪んで認知された一例は、以下のようなものなのか。
我が子を殺された親に向かって、「殺す側にも事情がある」とテレビ番組で平然と言い放ってしまうのである。(『太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中。』」民主の平岡ネクスト法務大臣がリンチ殺害被害者母親へ)http://jp.youtube.com/watch?v=WhdJm7L335w (3分20秒ごろ)
余談だが、げに恐ろしきは繰り返し再生されるネットの動画証拠よ。
クリティカルシンキング 入門篇: あなたの思考をガイドする40の原則
- 作者: E.B.ゼックミスタ,J.E.ジョンソン,宮元博章,道田泰司,谷口高士,菊池聡
- 出版社/メーカー: 北大路書房
- 発売日: 1996/09/01
- メディア: 単行本
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