公正世界仮説

電車で席に座って本を読んでいたら、前に立っていた女性がつり革から手を離して、その指先が本を掠めてページを叩いた。

何一つ言いやしない。こちらから目を逸らしている。高慢そうな顔に見えた。不愉快だった。

と思っていたら、次に前に立った別の女性が、やはりつり革から手を離したときに、また私の本に手がぶつかった。(私が前に身を乗り出していたわけでもないのに)

「あ、ごめんなさい」

美人だった。

世界はまだフェアに出来ている。