『文化系トークラジオ Life』刊行記念 "ポスト「失われた10年」に語るべきこと"

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最近podcastで聴き始めたラジオのイベントで、いい機会と思って見に行ってみた。

新宿・紀伊国屋ホールは300人程度しか入らない小劇場なのだが、満員だった。開演時間の午後2時を少し過ぎてパーソナリティの皆さんが壇上に現れ、イベントが始まった。構成は、セッション3つと総括というものだった。

#1「働く」ということ 柳瀬博一(日経BP編集者)×津田大介(IT・音楽ジャーナリスト)

サラリーマンの柳瀬氏とフリーライターの津田氏が、お互いの就労体験をもとにその本質を探る、という内容だった。話の内容が具体的なのでわかりやすい。

柳瀬氏の「サラリーマンとフリーは2項対立ではない。その間の垣根というのは低くなってきている。どちらが自分に合うのかは、価値観や優先順位で決まる。どちらも、目の前の人に自分の仕事の価値を認められる、ということが重要だ」と語っていたのが印象的だった。

#2「大人になる」ということ 仲俣暁生(フリー編集者・文芸評論家)×斎藤哲也(サイトー商会)(編集者・ライター)

お二人の間で、「大人になれ、と言われることと、まだ大人じゃない、ということに挟まれて生きる人はつらい」というようなことに関することを語っていた、ように思う。

しかし、メモをとることができなかったので、思い出せない。仲俣氏のある程度抽象的な思考の流れに追いつけなかったこともある。隣の人は、私のように白紙のメモを抱えていたが、寝ていた(笑)。

#3「社会に入る」ということ 佐々木敦(HEADZ代表・批評家)×森山裕之(雑誌編集者)

お二人の学生時代から働き始めるまでの話から始まったのだが、どうも話が、森山氏がQuick Japanで特集した「政治」に特化する部分が多かった。佐々木氏が「大文字の政治という言葉より、サブカルチャーの中に存在する政治のようなキーワードをトレースしていったほうがいい」というようなことを語っていた気がするが…。これも、メモがないので思い出せない。

#4 以上の内容から、メインパーソナリティー鈴木謙介氏を中心に総括

覚えているのは、

「3つのテーマに共通して、入り口に入れるか入れないか、のディジットな状態が自分を苦しめることがある」
「働くにしても、大人になる、ということにしても、それは概念的にこういうものだ、と示すことはできても、結局は個別に語られるべきことである。」
「とりあえず活動する、ということは、結果に結びつくかどうかという疑問が残るにせよ、目標や希望を持つことができる。」(森山氏の「まずはトウフ屋でトウフを買う」というフレーズは、よく繰り返されていた)

こんな感じだったか? 違ったかな? たぶん他にもブログを書いている人がいるから、そちらを参考にしたほうが正しいかもしれない。今回のトークでは、日経BP編集の柳瀬氏の話が、その内容もさることながら、話芸としても伝わりやすかったので、atnb賞に決定です。おめでとうございます。

2時間30分。休憩なし。大学の講義でもこんなのはなかった。ある種のブートキャンプか。私の左右の席と前の席の人は寝ていた。無理もない。私は、眠気に襲われることなく話を聴いていた。タフなのか、鈍感なのか。理解できたかどうかの自信はない。というより、思い出せない部分がたくさんある。

もしこれを関係者の方が見ていたときのために。

  1. 休憩なしはつらいので、休憩を取り入れてほしい。
  2. 客席が暗いので、メモを取れなかった。あとでpodcastで公開する予定とはいえ、その場の自分の疑問はすぐに書きとめておきたい。
  3. これは、本筋から離れるが、podcastのサーバーのレスポンスが遅すぎるので、何とか改善してください。

とか文句を言いながら、その後の鈴木謙介氏サイン会で能天気にサインをもらって握手し、劇場ロビーにいた斉藤哲也氏に挨拶した。ハイファイレコードのオンラインマガジンで文章を拝見したことと、そのハイファイレコードの皆さんが来月DJをする、という情報をお節介ながら伝えて、旧友たちとの飲み会に移動した。

このラジオのイベントに出て思ったのだが、サブカルチャー系の話題は私に合っているし、逆に私が疎い社会系の話題を聴かせてくれるのも面白い。しかし、この番組の内容から直接に感化を受けて何かをする、ということとは距離を置いたほうがいいと思った。そういったことを軽んじているわけではなく、ただ自分の中でもっと優先順位が上の方に来るものがあるはずで、それらと結びつけてこのラジオの放送を聴きたい、と思っているだけだ。

やっぱり、メモとらないと、まとまらないな。客席にも光を!