緊張の法則

緊張しやすい性質(たち)である。

今朝の会議が気になって、目覚まし時計より15分早く起きた。いま作っている文書の進み具合がはかばかしくないので、お客様に何か言われるのではないか、と気が気でなかった。せっかくなので、早めに行って、別に定例報告する文書について、共同作業者(Aさん)と前もって打ち合わせをすることにした。

会議が始まった。お客様が別メンバーの報告に厳しくダメ出しをしている。うわ、どうしよ。

続いてAさんの番になったが、報告内容に自信がないらしく、モゴモゴとしゃべっていて何を言っているのか聞き取りにくい。

実は私も同様の癖があって、緊張したり自信がなくなると、極端に早口になったり声が小さくなってしまう。困ったものだ。目の前のAさんはそれとまったく同じ症状のようである。それに気づいた途端、気持ちがどこかスーッと楽になるのを感じた。

自分以上に緊張している人を見ると、自分の緊張はたいしたことがない、と思える。

多少落ち着いた私は、「これはこういうことですよね?」とAさんを誘導してあげるぐらいの余裕が生まれたのだった。それにしても、Aさんは本当に困っている感じである。何もそこまで、と思うくらいに。弱々しく、Aさんは助けを求めるように共同作業者の私に言った。
「ここから後は、(atnbに)発表してもらったほうがいいですかね?」
私は答えた。
「あ、そのまま続けちゃってください。」
自己保身に走った。でもそこはAさんの日常業務なんだから、「逃げちゃダメだ」って!

さて、私の番だ。「メールでお問い合わせいただいた○○文書の件ですが…。」「ああ、その話じゃないんですよ。」
なんだ、違ったのか。怒られずに済んだ。

その後、途端に私の緊張は解けて妙に疲れ果て、だるいまま午後を過ごしたのだった。

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