フラワー・オブ・ライフ(全4巻) (2) なんとなく連想したコミック

フラワー・オブ・ライフ (2) (Wings comics)

フラワー・オブ・ライフ (2) (Wings comics)

読んでいて、なんとなく思い出したことを。


主人公たちが漫画原稿を持ち込むシーンがあって、その中で「日常淡々系」という言葉が出てきます。それは、もちろん『フラワー・オブ・ライフ』そのものも指しているでしょう。

「日常淡々系」の中心テーマになるのは、生活の「喜び」「憂鬱」「葛藤」だと思うのですが、あまりコミックを読まない私でも思い出したのが…。

津田雅美彼氏彼女の事情

彼氏彼女の事情 (21) (花とゆめCOMICS)

彼氏彼女の事情 (21) (花とゆめCOMICS)

お互いに心に仮面をつけた優等生同士が邂逅し、彼氏彼女となった後の高校生活を描いた作品で、ハイスピードな展開が、『フラワー・オブ・ライフ』とは対照的でした。そのテンポの中で、周囲から受け入れられるための仮面をつけた主人公の葛藤を軽妙に描いたのは、見事でした。

しかし、結局、21巻で完結したのですが、主人公の一人、有馬くんの心の闇が顕在化してからの後半が、ダレてしまった感じは否めません。登場人物も、ただ無茶苦茶にすごい人、ばかりが集まってしまい、前半の「近くにいそうな優等生」の描写やストーリー運びの丁寧さが、失われてしまったのは残念でした。それも、『フラワー・オブ・ライヴ』との相違点といっていいでしょう。

この作品は、アニメでもリリースされていて、庵野秀明の演出と、鷺巣詩郎の音楽を楽しむには、十分でした(私は、こっちを先に知りました)。

もうひとつ、思い出したコミックがありました。

吉田秋生『河よりも長くゆるやかに』

河よりも長くゆるやかに (小学館文庫)

河よりも長くゆるやかに (小学館文庫)

これは、米軍基地の近くに暮らし、男子校に通う3人の能天気な日常と、彼らが抱える悩みや現実を描いてみせる、という作品でした。『フラワー・オブ・ライフ』と同様、どこか静かな雰囲気を持っていました。

そういえば、吉田秋生は、『BANANA FISH』や『YASHA』など、ハード・ロマンといわれる作品が有名だと思いますが、他方で『河よりも長くゆるやかに』『桜の園』『カリフォルニア物語』『ラヴァーズ・キス』など、若者の生活に焦点を当てた作品も多数表しているのでした。(『吉祥天女』は、ハード・ロマンのほうかな?)

書き並べてみて、吉田秋生の作品には、性のテーマが底を流れている、ということに気づきました。異性の恋愛だけでなく、同性同士についても。血縁関係まで含むこともあり、彼女の作品に強烈な印象を与えています。

その点『フラワー・オブ・ライフ』は、恋愛は出てくるにせよ、それは登場人物個人のいちエピソードの域を出なく、あくまでも日常生活がストーリーの中心にあります。そのことも『フラワー・オブ・ライフ』の淡々さに影響しているのでしょう。読後感はさわやかでした。

(続く)