上田紀行『かけがえのない人間』
- 作者: 上田紀行
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/03/19
- メディア: 新書
- 購入: 7人 クリック: 42回
- この商品を含むブログ (28件) を見る
文化人類学を専門とする著者が、2006年に行ったダライ・ラマとの対談から始まって、(この辺も偶然にもタイムリーといえる) いま日本に蔓延する、人間を「使い捨て」にする思想から抜けだし、「私のかけがえのなさ」に気づき、自らの希望に沿って、「愛されるより愛する人になる(帯より)」ことを提言している。
大所高所からの物言いではなく、すべて自分の体験から書いている、というところに好感が持てる。とくに、第四章に書かれている、筆者と母の愛憎が渦巻く回顧録が圧巻。
簡単な原理原則を丁寧に繰り返し説いているのだが、ここから何かを自分に還元して活かす、ということができそうな気にさせてくれる一冊だった。ヒントが一つ見つかったので、私にはそれで十分だった。