前園直樹グループ インストア・ライヴ

新宿タワーレコードにて。
ふだん聴いていないミディアム・スローで間(ま)を重視した楽曲を聴いて、筋肉をストレッチしているような気分になる。「歌心」とは言ってみたものの、それを眼前に突きつけられて、たじろいでしまう。

終了後のサイン会で、ベースの羽立さんに、緊張を緩和するMCを支持します、と伝えたら笑っていた。

中川淳一郎『ウェブはバカと暇人のもの』

ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)

ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)

ネットの衆愚、がテーマになっている。ネットへの無邪気な希望に疑問を投げかける類書に、ひろゆき2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?』(本文中でも引用あり)があるが、この本は正面切って「バカと暇人」という言葉を使った点が新しい。ネット上にあふれる、ただ日常を綴ったブログやコメント、さらにはよくわからない義憤に駆られた「炎上」など、「バカ」と「暇人」の所業が多く紹介されている。著者が編集したネットニュースに対してのむちゃくちゃなクレーム対処で、「実害を受けた当事者の方を見つけて、私に連絡するよう伝えてください」。バカと共犯関係になってはいけないのだ。
しかし、本書の内容は、著者のネットニュース編集長の体験や実感などに留まっているところが物足りない。そしてそれらはもっと冗長さを省いて語れたはずだ。結論も、「現実生活への回帰」という、ネット vs. 二項対立、というフレームから逃れられず、やや陳腐な印象を受ける。著者自身も、この本を書くにあたり、新たな発見や考察、というものは感じられなかったのではないか。
とはいえ、テレビとネットは対立するどころか、内容的に強く連動している(たとえば、テレビで紹介された話題がネットで即座に検索される)という指摘は、当たり前のようでいてなかなか無かった。テレビで時間を無駄にするのはやめよう、としている一方で、いつのまにかネットで何時間も浪費している、ということは避けたい。「2ちゃんねる」のまとめサイト、見すぎるのはやめようっと。
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追記

著者がネットニュースで編集を重ねた結果、多くのページビューを稼ぎ出す、つまりウケる要素が、以下のように紹介されている。ネットでなくても参考になる。

  1. 話題にしたい部分があるもの、突っ込みどころがあるもの
  2. 身近であるもの(B級感があるもの)
  3. 非常に意見の鋭いもの
  4. テレビで一度紹介されているもの。テレビで人気のあるもの、ヤフートピックスが選ぶもの
  5. モラルを問うもの
  6. 芸能人関係のもの
  7. エロ
  8. 美人
  9. 時事性があるもの

(有)申し訳 GENERATION

その後、友人たちと別れて三宿WebのJ-POP DJイベント「(有)申し訳 GENERATION」へ向かった。ゲストが小西康陽氏。クラブで会う友人たちも何人か来ていた。

小西さんのDJは、ご自身の楽曲を中心にしたセット。「リンダリンダ」は危険すぎた。ユニコーン「大迷惑」リミックスは好きだ。

しかし、そのほかのDJは、率直に言えば面白くなかった。リズムだけが強調されてメロディがよくわからない曲には感情が乗らない。メロディがはっきりした曲をかけるDJもいたが、つなぎが無理矢理すぎて、グリを くんと「ipodのシャッフルに負けている」と悪口を言った。「歌心」という単語がふと頭に浮かんだ。

このイベントは2日連続で、昨日のおそらく主力と思われるDJ陣を聴いてみないと何ともいえない。「申し訳ないと」のmixCDは好きだから。

申し訳ないとフロム赤坂 アーバンMIX

申し訳ないとフロム赤坂 アーバンMIX

結局、4時ごろ店を出て、玉川通りの朝の散歩を渋谷まで決行し、帰宅。

故・忌野清志郎について

訃報が伝えられた忌野清志郎の話題になった。私の彼についての記憶と言えば、1989年のフジテレビ「やっぱり猫が好き」年末年始特番で、矢野顕子といっしょに「サントワ・マミー」を歌っていたことや、同じくフジテレビ「FACTORY」で、「最高だぜえ!」と叫ぶだけの司会だけをしていた、というものしかなかった。だから、世間の追悼の様子を静かに眺めているつもりだった。

ロックの生まれた日

ロックの生まれた日

  • アーティスト: オムニバス,ひまわり,THE TURBO WHEEL CHAIR,SMI,VIVA,OBOB,黒い三角定規,ABO
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 1990/07/25
  • メディア: CD
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しかし、自分の高校時代、音楽の授業の課題で何かパフォーマンスをすることになり、ラジオで耳にした忌野、坂本冬美三宅伸治の「SMI」がカヴァーしていた園まり「逢いたくて逢いたくて」を気に入り、ピアノで弾き語りしたところ大いに受け、それがきっかけで高校・大学とミュージカルに参加できたことを急に思い出した。私のような人間にも影響が及んでいるなんて。そんな形で彼の功績を思い知った。

ライターさんと飲み会

ライターのお友達と渋谷で飲み会。例によってお笑い中心の話題になる。

勧められて読んだ中川淳一郎/ウェブはバカと暇人のもの』を受けて、ブログの日記を「今日食べた○○、超うめぇwww!」だけで書く勇気があるか、と問われた。無理だろ。だって、それが人生最後の日記になっちゃたらさ、恥ずかしいじゃない。「じゃ、いつもの感じと、「超うめぇ」日記を両方書いて、どっちがコメント多くもらえるか、やってみれば。」いや、「超うめぇ」が圧倒的多数になったら、間違いなくショックを受ける。しかし、よく考えてみれば、ふだん書いている日記も、何のために、と言われれば、よくわからない。

ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)

ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)

私と読書会

もう5月だね。

某古典読書メーリングリスト(ML)に参加している。

1月

大和和紀あさきゆめみし』。
小学館文庫で全7巻。今年が源氏物語千年紀、ということで。

あさきゆめみし 美麗ケース入り 全7巻文庫セット

あさきゆめみし 美麗ケース入り 全7巻文庫セット

少女漫画のせいか、美人女性キャラの判別が難しいが、話は面白いのでスイスイと読み進む。マンガなので、投稿が多い。私も久々に参加してみた。登場人物(光源氏、紫の上、葵の上 etc.)の誰(の恋愛観)に共感するか、または許せないか、のコメントが、あまりにも様々で驚くとともに面白い。

2月

ジョン・K・ガルブレイス 『大暴落1929』。

大暴落1929 (日経BPクラシックス)

大暴落1929 (日経BPクラシックス)

100年に一度の不況、というが、私は1929年の「暗黒の木曜日」話を知らなかった。経済について私は本当に無知なので、誰が儲かって、誰が損しているのかだけを何とか追っていった。それでも何とか読み通せるわかりやすさはあった。会社型投資信託レバレッジバブル崩壊、呆然と株価暴落を見つめる人々。今と共通することは多い。

3月

セネカ『怒りについて 他二篇』

怒りについて 他二篇 (岩波文庫)

怒りについて 他二篇 (岩波文庫)

怒っちゃだめだよ、暴君の権力者はそれで身を滅ぼしたんだから、 と分析して説いている2000年前の本。
投稿時の設問「怒りの処方箋に対し、役立ちそうなアドバイス 本、文章、音楽、映画、 指回し体操、あだな付、アナライズ等々・・」に、「"Living Well is the Best Revenge."(優雅な生活が最高の復讐である) 」のことわざを挙げたところ、反響が大きかった。これは、ダウンタウンレコードの壁のジャケットに飾られていた言葉だった。

4月

村上春樹訳『Carver's dozen―レイモンド・カーヴァー傑作選 』

Carver's dozen―レイモンド・カーヴァー傑作選 (中公文庫)

Carver's dozen―レイモンド・カーヴァー傑作選 (中公文庫)

私の推薦だった。上に挙げたことわざに関連して、「"Eating Well is the Best Revenge."(よく食べることが最高の復讐である) 」があり、それに似た趣旨の話があった、と思い出したのが、上にも収められている「ささやかだけれど、役にたつこと」だった。カジヒデキの曲のタイトルはここから引用されている。《レイモンドは語る》という歌詞も登場する。淡々と描写するアメリカ文学

子供を亡くした夫婦が、パン屋に慰められてパンを食べ、気力を取り戻す、ということは覚えていた。しかし、パン屋が子供を亡くした両親に向かって、はじめから子供がいない寂しさもある、と話すくだりを、まったく忘れていた。自分だって、パン屋のような立場になるかもしれない、という感想を今回初めて持った。

4月某日

それとは別に、ほぼ同メンバーによる別の読書会 「恋愛のサスティナビリティ」に参加した。末長く上手につきあい続ける方法(継続可能性)を生み出す智恵はあるのか、というテーマだった。

課題図書。
樋口康彦『崖っぷち高齢独身者』(光文社新書)。

崖っぷち高齢独身者 (光文社新書)

崖っぷち高齢独身者 (光文社新書)

中島武『そのお店、いまなら再生できます』(柴田書店)。
そのお店、いまなら再生できます

そのお店、いまなら再生できます

サブテキスト。
「私を豊かにする性愛」特集を組んだ「婦人公論」2009年2月22日号
婦人公論 2009年 2/22号 [雑誌]

婦人公論 2009年 2/22号 [雑誌]

ロバート・B・チャルディーニ『影響力の武器【第二版】』(誠信書房
影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか

影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか

婦人公論」って、スゴいことが書かれているんだね。驚いちゃった。それとも、男性が知らないだけなのか。

当日もっとも盛り上がった議題は『パートナーが携帯電話をチェックしていると思うか、また、どう防ぐか』。性善説から性悪説まで、議論百出。

また、6年ペースで「君にはついていけない」と別れを告げられる女性参加者の「初めはパンダのように面白がられるが、次第に飽きられる」告白は、笑ってしまうと同時に切なさがよぎった。

会が終わった後のMLでは、なぜか『女が男にする耳かきは、どういう意味があるのか』が盛り上がっている。