山田悠介『8.1 Game Land』

8.1―Game Land (角川文庫)

8.1―Game Land (角川文庫)

昼飯をとりに入ったショッピングセンターの書店売り場で、たまたま目にした。山田悠介の名前は知っていたので、手にとって最初の短編「ジェットコースター」を読んでみた。

何だこれ。

[要旨]
山田悠介初の短編集が待望の文庫化!遊園地へ遊びにきたカップルが巻き込まれる、生き残りデスゲーム…(「ジェットコースター」)、動物や昆虫の死体を撮るのを生き甲斐としている男が、偶然人間の死体を見つけたことから始まる狂気の世界とは!?(「写真メール」)、他にここでしか読めない書下ろし短編「人間狩り」の三本を収録。
(e-hon の解説より http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refISBN=9784043792047)

要するに「ジェットコースター」の生き残りデスゲームとは、座席がはずれて安全装置のバーにぶら下がり、最後の一人になるまで続く、という話である。老若男女、幼児も含めて、どんどん落下して死んでいく。本当にそれだけである。立ち読み終わって、さっさと本を置いた。ネタバレ? そうだね。

私の少ない読書量ではあるが、読まなきゃよかった、とここまで強烈な嫌悪感を催させた本はなかった。本来なら他の短編も読んでから語るべきだが、敢えてそうしない。不条理とかそういうものではなく、表現したいものがあるのかどうかがわからない。ただ衝撃的な現象として人が死んでいくのである。世の中には他に読むべき豊穣な小説がたくさんあって本当によかったと思う。

しかし、他にも人が死ぬ話っていっぱいあるが、それらとは何が違うのか。著者が人が死ぬ、ということを重く(あるいはあえて軽く)書いている、ということ、そしてそれ以外に表現したいメッセージが伝わってくるから、嫌悪感なく読めるのか。あれ、意外と説明が難しいぞ。それに気づかせてくれた価値は、本書に認める。