安達哲『さくらの唄』

さくらの唄(上) (講談社漫画文庫)

さくらの唄(上) (講談社漫画文庫)

このマンガは、この前の『文化系トークラジオ Life』で紹介されていたはずだ。

美大受験を控える主人公は、離婚して出戻りの姉と二人暮し。父の仕事で両親は海外へ赴任しており、これ幸いとばかりに親戚の夫婦が転がり込んでくる。悶々と閉塞感にさいなまれる日々を送るのだが、好きな女の子の映画を撮ることに希望を見出す。

  • 現実の日常を描いている
  • 主人公が「ヘン」(少数の側、と言ったらいいのか)
  • ストーリーの雰囲気が暗い

このマンガの好きなところを挙げるとしたら、上のような点である。

余談だが、このマンガは1990年代の連載で、単行本が3巻まで出て、3巻だけが「成年コミック」だったそうだ。それは本質からかけ離れた表面だけの解釈で、格好の笑い話である。現在は、文庫版で上下巻が出ている。

途中、とんでもないカタストロフィが待っている。
私は救いのない話も好きだ。

いや、実はちゃんと最後に救いらしきものはある。それを安易ととるか、爽やかととるか。私は爽やかなほうにとった。私は弱い人間だから共感したかったのだ。

ネットで検索すれば、たくさん書評も出てくる。名作、の扱いを受けているようだ。マンガが好きな方には薦める。

さくらの唄(下) (講談社漫画文庫)

さくらの唄(下) (講談社漫画文庫)