友人夫婦と2歳の長男

仙台に住んでいる、大学時代からの友人にしてブログの師匠でもある、id:rararapocari が、奥さんと2歳になる長男とで東京に来るというので、会う約束を取り付けた。来る、といっても、それは実家へ帰ってきての挨拶のためであって、忙しい中、時間を作ってもらった。

プレゼントを探す

長男のようたくんは、2歳の誕生日を迎えたばかりなので、絵本をプレゼントしようと思って、彼らが東京に来るまでの間、書店に行った。児童書のコーナーでは、小さな男の子が、音の出る電車の絵本を読んでいた。
ねえ、この本、面白い?
「……(うなずく)」
きみ、歳はいくつ?
「……(指で2を作る)」
じゃ、決定。この本をプレゼントしよう。ありがとう。バイバーイ。
「……(手を振る)」
でも、男の子が少し悲しそうな顔をしていたのは、自分に買ってもらえる、と勘違いしたからではないだろうか。
ごめんね。

一家に会う

その後、東京に到着した rararapocari 一家と対面した。ようたくんは、お母さんに手を引かれて歩いてきた。奥さんが書いている育児日記ブログを私は毎日読んでいて、ようたくんの最近の動向はほぼ完璧にわかってしまっている。たしか、「にちはー」と挨拶するはずだ。こんにちはー。
「……」
あっ!ようたくんは突然、お母さんの手を振り切って、走り出してしまった。お母さんが買い物をするときに、いつもどこかに消えてしまうとは知っていたが、これほどとは。初速からすでにトップスピード。そして、すべての格闘家が見習わなくてはいけないような、ずっと動き続けるスタミナ。

これからどうしようかと考えている間に、こっちはもう汗がでてきた。緊急避難するように、駅ビルデパートの喫茶店に行った。その間も、ようたくんは、「あー」と、あちこちの商品ディスプレイをいじったり、エレベータのボタンを押しまくったり、rararapocari たちは、てんてこ舞いだった。

茶店に入ったあと、ようたくんにプレゼントを渡す。はい、おめでとう。「……」 ようたくんは、いぶかしげにこちらを見ている。包みを開けてから電車の絵本を渡すと、急にテンションが上がって、「おお」と音声のボタンを押しまくる。踏み切りの音に喜んで、「はーい」と手を挙げたほかは、また絵本に没頭し、その後、デパートの中をお母さんと探検に出かけた。

その間、ようやく rararapocari と話をする。いつものように本や音楽の話になる。彼は仕事や育児が大変でも、本をよく読んでいる。さっき見た、ようたくんの行動の一端を垣間見ただけでも、子育てがどんなに大変か想像がつく。私も子どものころはすぐに親から離れて、道路に飛び出してしまうような、危なっかしい子どもだったらしい。

帰る段になって、またようたくんはあちこちの様々なものに反応していたが、唯一足を止めたのが、デパートで開かれている『恐竜展』の巨大看板だった。看板が自動的にスライドして、恐竜の顔がアップになるたびに、ようたくんはニコニコ笑って頭を抱えながら、「きゃーっ」と叫ぶ。自分が食べられるところを想像しているのだろうか。喜んではいるが、ある程度の距離を保ったまま、決して近づこうとしない。

人生の先輩の言うことを聞くべし

お母さんが切符を買っている間も、ようたくんはあっちこっち。私が近づいて、「ようたくーん、こっちきてー」と言ったら、ようたくんは、

耳をふさいだ。こらあ!わかってやってるだろ!

いや、見間違いかもしれない。今度rararapocariに確認してみよう。場合によっては、今度会ったらくすぐり地獄に落としちゃる。
まあ、私の親戚のいとこの子どもも、2歳のときは見向きもしてくれなかったけれど、その後、「マリオカートやってー」攻撃が激しかったからな。もう少し経ってからまた会ってみたい。

改札の向こうに消えていくrararapocari一家を見ながら、ふと、気楽な独身の自分が時間を無駄にしてはいけないような気がして、その日はまっすぐ帰ることにした。