師を見るな

寝ながら学べる構造主義 ((文春新書))

寝ながら学べる構造主義 ((文春新書))

内田樹『寝ながら学べる構造主義』を読んでいたら、鋭い一言に出会ってしまった。
メモしておく。

技芸の伝承に関しては、「師を見るな、師が見ているものを見よ」ということが言われます。

(略)

(師の技芸の模倣に甘んじて技芸が劣化する、ということを防ぐには、) 師その人や師の技芸ではなく、「師の視線」、「師の欲望」、「師の感動」に照準しなければなりません。師がその制作や技芸を通じて「実現しようとしていた当のもの」をただしく射程にとらえていれば、そして、自分の弟子にもその心像を受け渡せたなら、「いまの自分」から見てどれほど異他的なものであろうと、「原初の経験」は汚されることなく時代を生き抜くはずです。

(内田樹『寝ながら学べる構造主義』44p より)

あわせて思い出したのが、ヤン富田が2000年に講師をした「東大ポップゼミ」での一言だった。

「(リスペクトしてもいいが、)
拝んではいけない。
超えればいいじゃない。」