ジャケットが凹む
神保町でレコードを買った後、ロッテリアで「絶品チーズバーガー」を食べてみようとセットを注文した。会計を済ませてカウンターを離れると、
バターン。
あ、カウンターの荷物を乗せる部分に立てかけておいた、レコード袋をしまうのを忘れて、落としてしまった。うわ、大丈夫かな。
ばしゃっ。
あ、あわてたついでに、飲み物が床に落ちてしまった。取り替えてくれた店員さん、ありがとう。
袋の中を開けてみた。二枚のジャケットの角が本当にほんの少しだけ凹んだ。そして一枚のジャケットはいちばん古く、既に傷みもあったせいで、大きく凹んでつぶれてしまった。少し裂けてもいる。
自分の気持ちも文字通り凹む。帰り道でもそのことで気分がすぐれなかった。始めからそうだった、というならいいのだが、問題は自分のせいで失敗してしまった、という気持ちである。神経質になってしまう性格が、これほど損だと思うときはない。もはや楽しむための趣味ではなくなってしまうのだから。
大きく凹んだジャケットの裂け目をテープで補修しながら、まあ、問題は中身だよな、と気持ちを慰めるようにレコードを聴いた。試聴のときに良いと思った曲が、家ではそうとも思えない。何だかよくわからなくなってしまった。
そう思っていたら、一枚のレコードがジャケットから滑り出て、盤面を爪で引っかいてしまった。もう疲れたわい。やめやめ。
- 作者: 東香織
- 出版社/メーカー: 文芸社
- 発売日: 2000/02
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る