『ウィキノミクス』緊急大読書会

私が購読している日垣隆氏のメルマガで、『ウィキノミクス』という本の緊急読書会をやる、というので参加してきました。読書会と名のつくもの自体、初めての参加でした。

どういう本かというと、ネットを背景とした、いま起こりつつある産業界のパラダイム・シフトについて説明した本です。引用してきちゃえ、えい。

ウィキノミクス

ウィキノミクス

不特定多数に開かれたもの造りが始まった。「フラット化」の次に来る、真のもの造り革命である。ウィキノミクスの行動原理は四つ ――オープン性、ピアリング、共有、グローバルな行動。活発な“事業エコシステム”として数十万(あるいは何百万)ものパートナーが協力するという、今まで夢でしかなかった生産の形態が登場しつつあるのだ。先行するP&GボーイングBMW、レゴ、メルク、IBMはすでにその大きな配当を享受している。
この潮流の敗者たちは、「単にウェブサイトを立ち上げ」、「囲った“庭園”をつくり」、「自らのみで革新を進め」、「データとソフトウェアを頑なに守ろうとする」。しかし、この大波に乗じる勝者たちのほうは、「活気あるコミュニティを立ち上げ」、「開かれた“広場”をつくり」、「ユーザーを巻き込んで革新に取り組み」、「データとソフトウェアを全世界に公開してみせる」。そして、本当の変革はこれから始まるのだ。

私の音楽好きの友人のために書いておくと、本書の中には、芸術面の実例として、リスナーによる「リミックス文化」が採りあげられており、サンプリング、『グレイ・アルバム』などのマッシュアップ、それに対しての音楽レーベルの拒否反応、クリエイティヴ・コモンズ、というテーマが登場します。

難しそう、と思いましたか? 私も、読んでみたら難しくってねー。500ページもあるし、それなのに仕事も忙しくなっちゃって、仕方がないから、キーワードだけ叩き込んで飛ばし読みしました。

で、読書会当日(23日)です。

会場は、新宿区の戸山サンライズで、160人(!)が集合しました。形式は、主催のの日垣隆氏、訳者の井口(いのぐち)耕二氏、オープンソースプログラマ小飼弾氏の鼎談と、少人数のグループワークで進みました(いま、まさにMLでグループワークの議論結果が投稿されているところです)。

井口氏は、某大手企業を転職と子育てをきっかけに退職され、フリーの翻訳家として活躍されている方です。
(http://www.kato.gr.jp/lifestyle/lifestyle6.htm)

小飼弾氏は、ライブドアの前身、オン・ザ・エッヂの最高技術責任者だった方で(昨年の堀江貴文氏逮捕のときも、テレビに出ていました)、IT業界では大変に有名な方で、ぜひ近くで見てみたい、という私のミーハー心があったのも正直なところです。ふだんのブログ(http://blog.livedoor.jp/dankogai/)では大変舌鋒が鋭く、その日も挑発的な発言が数々ありましたが、それが面白いところなのです。

読書会は、テキストの内容に厳密に沿うわけではなく、テキストに描かれている、インフラのコストが非常に低く、人と人がつながりやすい世界で、「どう稼ぐか」が、主なテーマでした。参加メンバーは会社員が多数にもかかわらず、フリーランスという存在が、強烈に意識されていたように思います。

この読書会では宿題が出ていて、それをグループ討議したのですが、準備不足のせいもあって、自分の頭は回らず、何を言っているのか自分でもわからないような状態に陥ってしまいました。最近は、そういうことが多く、コミュニケーションを達成したときの満足感から、ひどく遠ざかっているように思います。本筋とはそれますが、今の私には、そのための改善が最も必要だと思いました。

各人が、面白い、と思うポイントを発表する機会があったのですが、それは人の数だけある、ということが、発見できました。
読書会の結論をひとことだけ言うならば、これだけビジネスや何かを始める環境が整っており、誰かと何かを始められるなら、やってしまったほうが得である(なぜ、いいと思ったことをすぐに始めないのか、理解できない)、ということでした。

その後は、居酒屋を借り切っての懇親会でした。今日の出演者のスピーチ大会、参加者の交流など、和気あいあいと進んでいきました。私の隣に座った人は、現在は会社員なのだけど、20代のときに2回会社をつぶし、そのときに誰かに腰の辺りを刺されたこともある、という経歴をお持ちでした。

お開きになるころ、思い切って、小飼弾氏に話しかけました。著名な方、というのは、一様にフレンドリーなのでしょうか、私は名刺をいただいて、写真も撮っていただきました。小飼氏は、たいへんな読書家としても知られ、いま、速読が気になる私は、読むスピードが速いのは、訓練をされたのですか、と伺ったところ、

「自然とそういう読み方になった。本はエサだからね。」

もう、何も言うことが出来なくなりました。
(参考映像:『dankogaiに書評をONEDARIしたら・・・!』
http://www.youtube.com/watch?v=s7wEesGmQQ4)

今回も、人に会うことでいろいろと刺激がありました(調子に乗って泡盛呑みすぎた…)。今は、自分の生活で何を新たに始められるのか、考えているところです。