『平凡コンプレックス〜美大で個性を考える』

武蔵野美術大学の芸術祭(学園祭)にて、タイトルのイベントを見てきた。
(http://www.tbsradio.jp/life/2009/11/_part1_1.html)

TBS 『文化系トークラジオ Life』のパーソナリティ7人が全員そろうと言うので、散歩を兼ねて出かけた。大学生のような若い人が多数だった(当たり前)。これはうっかり場違いな場所に出てきてしまったのか、と多少後悔した。会場は石段に腰掛ける感じで、座布団を持っていったが、姿勢が変えられなくて難儀だった。

個性が渦巻き競い合う美大の中で、自分の平凡さに気づいてしまったら、どうしたらいいのか。話を聴きながら私は、そうか、美大ってそういう場所なんだよね、ということに今さらのように気づいた。話を聴いているうちに、短気で多少は企業社会に擦れた自分は、こう思わざるを得なかった。個性とか考える前にさっさと作品を作ることを考えたらいいんじゃないの、と。しかし、ことはそう簡単ではない。

内容の詳細は、上記ページでポッドキャスティングが公開されているので、そちらをぜひ聴いていただきたい。なかなかにキラーなフレーズが満載である。「個性と才能を混同してはいけない。」「モテると悩まないで済む。」とくに耳を惹いたのは、「個性は他人が定義する。」だった。急に数日前のことを思い出した。

自分と同じオフィスにいながら、ほとんど話したことがない同僚たちと、飲み会をしたのだった。そこで、最近親会社から赴任してきた先輩の一言、「君はこんなところより、別の場所が向いている。自分が君の上司ならそうする。自分ができないことに対して、自分だけが悪いと思っている。その反面、君はバカなやつが嫌いだ、って思っていないか。」いま私は、将来会社でどうやっていこうか様々な思いが去来しているときだったので、私は会社でそんな風に自分が見られている、つまり個性として認識されていることをどう受け止めていいか、ひどく戸惑っていた。私はここから逃げ出したいのだろうか。

イベントは2時間におよび、結局どうやって個性で食べていくか、という話にまで発展していった。再び自分の個性について考えてみたが、上に挙げた以外で当てはまるのは、趣味のDJだろうか。それはまた改めて書きたい。

高円寺で希望者参加の打ち上げ

著名な人と直に話せる、という機会に私はすぐに首を突っ込みたくなる。メーンパーソナリティの鈴木謙介(チャーリー)氏、プロデューサーの長谷川(黒幕)氏、サブパーソナリティの斎藤哲也(ライター)氏と話す。自分はいつもの癖でついつい気負ってしまい、空回りするが、何とか話をリードしてもらった。チャーリーは、過去にITの仕事もやっていたなんて、知らなかった。

横にいたスタッフの女の子は、ずっと静かだったが、話を振ってみたら、自分たちはいつも他の生徒たちと共に、作品をずらりと並べられ、その中から選ばれる、ということが日常だ、という話が妙な迫力を持っていた。それから、29歳の天文学の研究員のかた、そして、シナリオの勉強をしている方と話した。自分からはあまり動かなかった。もっと動けばよかったんじゃないか。

そういえば、Lifeのポッドキャスティングで『居場所の現在』の会を聴いていなかった。先に聴いておけばよかったよ。

・「パーティ」で即時的に居場所を確保する方法(charlie)
 →「全員アウェーだ!」と思う事が大切(斎藤)
 →一人目がダメなら酒でも飲んで二人目に(斎藤)
 →パーティを居場所だなんて思わず、おいしいものを食べるべし(柳瀬)
 →パーティごときで人脈ができたら苦労しない(柳瀬)
 →つらい思いを強いられるパーティなんて大した場所ではない(柳瀬)
(http://www.tbsradio.jp/life/2009/10/2009927part1.html)

でも、そのためには、ふつうに話しかけやすい人でなければならない、ということは心得ている。私は近寄りがたいタイプ、と言われることもあり、実際に話す内容との「落差」ばかりを個性としてきたが、もうそれではいろいろと不利であることは認めざるを得ない。ましてやパーソナリティ陣のように第一線で活躍しているような人の前では、何にもならない。結局、私も平凡と個性のコンプレックスを未だに引きずっている。イベントにはそうあるべくして行った、ということか。

文化系トークラジオLife

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