小堺クンのおすましでSHOW 23 '85〜'08

今回一緒に行くライターのシエ藤くんと久々に会うということで、新宿で早めに会って、喫茶店で会話する。1軒目は、動きだけセカセカしているのに、仕事ができていないという、うっとうしく迷惑な中年男性店員に呆れる。

さっさと店を代えて、2軒目は、階段つきホール状で広いところ。シエ藤くんとは、たいてい「流行っているもの」の会話をする。しかし、いま自分の周りで流行っているものを探すのは、難しい。自分が鈍感なだけかもしれない。

なぜか会話が地上デジタル放送の話になった。いつも見ているブログから、うろ覚えで適当なことを何とかしゃべっていると、シエ藤くんが関心を持って聴いてくれたようだった。そのままジュンク堂書店に移動し、シエ藤くんは池田信夫『電波利権』を買った。あわせて、阿久悠『歌謡曲春夏秋冬―音楽と文楽』『なぜか売れなかったぼくの愛しい歌』も。

電波利権 (新潮新書)

電波利権 (新潮新書)

一緒にいた私が何も買わないのも格好つかないと思い、手に取ったのが、モーティマー・J.アドラー と C.V.ドーレンの『本を読む本』。あーあ。

本を読む本 (講談社学術文庫)

本を読む本 (講談社学術文庫)

劇場のシアターアプルに移動し、本題の舞台を観劇する。新宿コマ劇場の地下にあるこの劇場も、コマと一緒に今年閉鎖される予定だ。

いっしょに見ていたシエ藤くんが、「これ、コント55号ですね。」と話しかけてきた。確かにそのとおりで、小堺一機がコントの進行役(萩本欽一)になって、徹底的に(坂上二郎へのように)振りまくる。それをベテランの手腕で受ける松尾伴内と、テンパって崩れるあさりど堀口文宏。しつこくやる部分と、次々に流していく部分のバランスが絶妙。でも、例年に比べると、笑いの爆発力がもうひとつ足りないように思えた。

シエ藤くんは、「バンドがうまいですね」とも言っていた。毎年バンドが入っていて、ドラマーが矢沢永吉のバックだったり、バンマスが小田和正のツアーに参加していたり、という経歴の持ち主で、安定感が抜群。コントのSEやBGMもアドリブで入れる。

日本では数多くのショーが行われており、そのほとんどを見たことはないが、それでもこのショーは、一人のコメディアンが主催するショーとして、客が入らないと言われる8月に20年以上続けている、という点を考えても最高峰であると思う。シエ藤くんの「高校か大学のときに見ておけばよかった」という感想がもらえて、いっしょに行った甲斐があったというものである。

新宿のシアターアプルに来るのも、おそらくもう最後だろう。14歳のときからの恒例行事も一区切り。急に感傷的になってしまって、最後のメッセージの写真を撮った。