奥田英朗『空中ブランコ』

空中ブランコ (文春文庫)

空中ブランコ (文春文庫)

その道で成功してきたけれど、生活の歯車がどこか狂ってしまった人たちが、子どもみたいな精神科医・伊良部のもとを訪れる、という短編集。この作品は、私が以前に読んだ『町長選挙』のシリーズ内でひとつ前に当たる。

これが直木賞を受賞していたのをはじめて知った。とにかく読みやすい。新人のような硬さがまったくと言っていいほどない。読みやす過ぎて、うっかりすると何も中身がないのでは、と余計に勘繰ってしまうほどである。

この『空中ブランコ』、舞台化されているそうで、主人公の伊良部は雨上がり決死隊宮迫博之。伊良部はまるまると太った30代後半(表紙の赤ん坊がそのイメージ)なのだが、どうやって役作りしているのか、気になる。蓮っ葉ナースのマユミは、佐藤江梨子。これはぴったり。おかげで本を読んでいるときのイメージもブレなかった。

え、かつてスペシャルドラマ化もされてたのか。伊良部役には阿部寛。うーむ、ますますイメージが沸かない。