田中淳子『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』

4月前後になると、時期に合わせて、新入社員のためのブックガイド、というものがビジネス雑誌によく見られる。そういうブックガイドは、別に新入社員向けじゃなくても役に立つ。会社で購入している雑誌を見ていたら、先輩同僚が、あ、これいいんじゃないの、と薦めたのがこの本だった。

この本は、『日経ITプロフェッショナル』(現・日経SYSTEMS)の連載記事をまとめたものである。この雑誌内容をまとめたタイプの本は、たいてい教科書的でとっつきにくさはあるが、そのことを内容が身についていないことのいい訳にしてはいけない。ショートカット云々を言う前に守るべき基本がある。

<第1部・基本編>
第1章 顧客訪問に必要なビジネス・マナーの基本
第2章 深く正確に「聞く」ためのテクニック
第3章 顧客に深く理解させる「説明力」を身につける
第4章 質問にしっかり答えて説明を締めくくる技術
第5章 顧客に心から納得してもらえる提案術
第6章 「感情」を理解して仕事をスムーズに進める
第7章 正しい日本語表現で顧客の信頼を得る
第8章 プレゼンテーションの基本を押さえる
第9章 正しい「立ち振る舞い」で顧客の参加意欲を導く
第10章 文字と表現の工夫で分かり易いプレゼン資料を作る
第11章 効果を最大にするデモンストレーション方法
第12章 入念な事前準備で失敗やトラブルを回避する

<第2部・応用編>
第13章 先輩として手本を示す
第14章 新入社員が配属されたら
第15章 新入社員をOJTで指導する
第16章 新入社員の表現力を育てる
第17章 後輩の話を上手に聞く
第18章 部下や後輩に仕事を指示する
第19章 部下や後輩と信頼関係を結ぶ
第20章 部下や後輩をやる気にさせる
第21章 意見対立を解消する
(ネットでアップされている目次と、実際の本のそれが一致していないのはなぜなのか。ひとまずネットでアップされているほうを書いた)

いまアサインされるかどうか検討中のプロジェクトの面接で、もっとも強調された点は、コミュニケーションができるかどうか、だった。いろいろと説明しなければならない場面があるのだ。まあ、どんな仕事でもそうだけど。でも、それがいちばん苦手だ。不必要に緊張するから。

第4章「質問にしっかり答えて説明を締めくくる技術」を読んでいて、過去の失敗をいろいろと思い出していたたまれなくなってしまった。第8章の「プレゼンテーションの基本を押さえる」は、悪いプレゼンの見本例そのままである。自分にとっては、まさにいま読むべき一冊だった。

この前、会社の送別会でも、私は奇妙な人だった、と言われた。まったく不名誉なことだと思っている。それは、面白い、という一見肯定的な表現でも同じだ。自分の言動がそんな言葉たちを引き寄せている。

日常生活でも、人と話すときには不必要な緊張してしまったり、おかしな癖が出てしまったりする。歳を重ねてもなかなか治らない。そのおかげで私はいいようにからかわれている。いじられている、といえばいいのか。しかし、私は少しずつ信頼を失っているのではないか。そういう自分にいい加減に苛立ち、失望し、そのこと自体にも飽きた。日常生活にもこの本を応用させていただきます。