ヒルティ『幸福論』

幸福論 (第1部) (岩波文庫)

幸福論 (第1部) (岩波文庫)

今朝は7時30分に起きた。

メールの返事や、友人に頼まれた本の発送作業をしていると、いつのまにか時間が過ぎている。あっという間だなあ。

時間がない。これは、ちゃんと正式にきまっていない義務や仕事をのがれようとする時、ひとが最も普通に用いる便利な口実であるばかりでなく、また事実上、しごくもっともな、そしてもっともらしく見える言い分である。

これは、ヒルティ『幸福論』第一部の中の一説である。さる書評で、『仕事の上手な仕方』と『時間の作り方』の章、数十ページだけでも読む価値がある、とあったので、読んでみた。

次ぎに大切な点は、あまり自分自身を大事がらないことである。いいかえれば、時間、場所、位置、気乗りや気分などの準備に長い暇をかけないことだ。

さっさとやれ、ってことですか。年賀状を書く。

それからまた、時間節約のおもな方法の一つは、仕事の対象を変えることである。仕事の変化はほとんど完全な休息と同様の効果がある。この方法にある程度まで熟達するときは――それは熟慮よりも練習によって得られるものだが――、われわれはほとんど一日じゅう働き続けることができる。

次は、部屋の掃除。いや、やっぱり少しは休息させてくださいよ(泣)。しかし、気が乗っているとき、というものは確実にあり、その状態を練習で呼び寄せられるならば、相当なアドヴァンテージである。

ほかにも、小さな断片の時間の利用を薦めるなど、本質的な指摘がたくさん出てくる。たしかに読んでいてまったく抵抗がない。自分の生活に簡単に当てはめて考えることができるからである。いま、仕事や生活の効率を上げる、とかいうノウハウ本をめくってみると、似たような記述はたくさん出てくるのではないか。

著者のヒルティは、19世紀後半の40年の間、論文や著作を多数生み続けた。すごい人だ。

ヒルティは、キリスト教への信仰が深いことでも知られている。そういう意味で、今日、自分の中でいちばんクリスマスっぽいのはこの本だった。