K−1 WORLD GP 2007 決勝戦

家に帰ってテレビをつけたら、K-1グランプリの決勝戦をやっていた。準々決勝第1試合がちょうど終わったところだった。

勝戦は3連覇がかかっている空手家セーム・シュルト、対するは、K-1 1回目から出場し、すでに3回の優勝経験を持つキックボクサー、ピーター・アーツだった。昨年と同じカードである。

シュルトは、その巨大な体躯のおかげで、突きや蹴りの間合いが遠く、相手の選手を寄せ付けない。相手のカウンターに揺らぐことはあっても、平常心で持ち直し、盤石の態勢で勝っていた。強いことは間違いない。しかし、見ていてどこか面白くない。

アーツは、準々決勝で日本の若手を一蹴KOしてリバイバルをアピール、準決勝も弟弟子に判定勝ち。ひょっとしたら15年目の集大成として、シュルトにリベンジを果たしてくれるのでは、という期待もあった。

決勝が始まってみると、あっけない結末だった。ピーター・アーツが、シュルトの攻撃を受けて踏ん張った瞬間に膝がダメージを受けて倒れこみ、KOとなった。自滅してしまったのだ。

K-1の3連覇は偉業なのだろうが、それは、シュルトに対抗できる選手がいない、つまり、何も変化がない、ということを意味していると思った。そのような硬直の仕方は、興行として致命的だ。シュルトが衰えるか、新星が現れるか、または、リングのどこかに内在しているはずの番狂わせを、ただ待つしかない。(過去、サモア系のキックボクサー、マーク・ハントが初出場でいきなり優勝した、ということはあったが)

MC席に座っている藤原紀香も、変わらない。いや、これはこれですごいことだ。

優勝したシュルトが、興奮してテレビカメラに向かってしゃべっている。3連覇おめでとう。私はそれを醒めた目で見ていた。