デキる人からサヨウナラ
仕事をしていると、メッセンジャーのソフトが起動した。プロジェクトの環境構築を担当してくれていた女性からだった。
「お忙しいところすみませんが、一言だけよろしいでしょうか。」
はい。
「早くて来週早々、遅くとも今月中に離任します。」
そうでしたか。
「内密なので、このような形で申し訳ありませんが。
仕事のできる女はいらん、言うことを聞く大人しい女がいいとのことで本日クビになりましたので。
短い間ですがお世話になりました。あと少しよろしくお願いいたします。」
名誉の撤退、ですね。ありがとうございました。
本当にデキる人だった。また優秀な人がプロジェクトから抜けていく。
残された私は、仕事が終わった後で、昇進申請のための書類を作っている。つまり、自分はこれがデキるから昇進させてね、とアピールするのである。
書く項目も多い。
強引に埋めているところもあるので、けっこう苦しいが、メンター(相談役)の先輩社員の指導もあって、何とか書き進めている。
締め切りが近い。今度の休みもずっとこれを書いているだろう。アピールしなければならない会社なのはわかっているが、仕事の成果を膨らませて書いていると、良心の呵責(?)のせいか、体が疲れてだるいぞ。
離任した彼女のように、仕事がデキるもので、とうそぶけるのはいつの日か。
- 作者: 大橋悦夫,佐々木正悟
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2007/01/31
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