岡田斗司夫『いつまでもデブと思うなよ』

いつまでもデブと思うなよ (新潮新書)

いつまでもデブと思うなよ (新潮新書)

某マイミクさんが、この本が気になっているとのこと。私も同様で、電車で中吊り広告が出る前に買ってしまった。私は太っている、と言われることはほとんどないが、それでも以前からの知り合いには「顔が丸くなったね」といわれることはあった。それに、腹回りの肉のつき具合も、自分ぐらいの年齢なれば気になってくる。予防の意味合いも込めて買ってみた。タイトルも『○○力』や『なぜ〜なのか』みたいになっていないのがいい。

本屋でダイエットに成功した著者の写真を見て、不謹慎にも「これガンだろ」と言うぐらいやせていて驚いた(『レコーディング・ダイエットのススメ』http://putikuri.way-nifty.com/blog/2007/09/916_7d80.html)。これが普通のダイエット本だったら買わなかった。しかし、「レコーディングダイエット」という方法は私の目を惹いた。まずは何を食べてもいい、何を飲んでもいい、カロリー計算も運動もしなくていい。ただ一点、「口に入れたものはすべてメモする」。とにかく自分に関する事実を正確に押さえる、という方法論にほれ込んでしまったのだ。

本の中では、まずどうして自分がダイエットを始めたのか、という理由から「見た目のキャラクターづけとその改善のメリットと楽しさ」についてきっちりと語られている。それをマクラに、ダイエット方法の比較(時期的にビリーズブートキャンプもチェックされている)を行い、レコーディングのローリスク・ハイリターンを説いている。ここでのポイントは「続けられるかどうか」であり、最近のビジネス書でも中心になっているテーマの一つである。

その後、体験談をもとにダイエット方法の展開が語られていて、「捨てる」ということを積極的に行っている点や、やせた後のたるんだ皮の存在など疑問点もないわけではないが、何せ書店で驚きの声を上げてしまった私にとっては、説得力は十分あった。私も自分の食事のメモを取ってみた。だいたいパターンはわかってきており、それほど過剰にカロリーを摂取していないことがわかったので、ひとまず今はメモを中止している。(でも、なぜか健康診断の結果で、血中の中性脂肪が上がったんだよね。なんでだろ) 私に必要なのは、食餌制限よりも運動のほうだろう。

さて、先ほど方法論にほれ込んだ、と書いたのは、最後の章にこんなことが書かれていたからである。

実は、自己コントロールというのは、体重管理だけに有効というわけではない。お金や仕事、人間関係や自分の将来など、広範囲に応用可能なのだ。何か迷ったとき、目標があるのにうまくいかないときには、要素を書き出してみよう。
それがレコーディングだ。
書き出したからといって、無理やりに答えを見つけなくていい。考えたことや悩んでいることを文字にして客観的に見られるようにする。それだけで十分だ。
(第八章 軌道到達・ダイエットの終わり)

言葉にならない不安に苛まれたり、自分の「ヘンさ」を指摘されることが多い私としては、その方法が役立ってくれるはずだ、とつい妄信してしまうのだが、ほかにいい方法も思いつかないので、今はそうすることにしている。

それにしても、この本は売れている。広告が世に広まる前にこの本の話題を出すと、ほぼ100%の割合で盛り上がっていた。みなダイエットには関心があるらしい。ところで、ビリーズブートキャンプのDVDを買った人で、かつこの本も買った人っているのだろうか。