福沢諭吉『新訂 福翁自伝』

以前の日記で、ロジック破綻メールを書く仕事のメンバーのことを少し書いた(id:atnb:20070815)。私の仕事のチームリーダーが、そのせいで仕事がまったく進まないことにとうとう業を煮やし、彼についてのメールをプロジェクト・リーダーに送った。的確な経緯説明とともに、つまり「彼を代えてくれ、さもなければ自分を降ろしてくれ」という内容だった。それを読んで、こちらも身を引き締めた。

昨日、自己啓発本のことを書いたが、要は本を読む行為自体に逃避することなく、役に立つ自己啓発本あるいはビジネス本だけを見抜いて生活に利用すればいいだけのことである。いま糾弾されつつある彼のような人にこそ自己啓発的なコミュニケーションのノウハウは必要かもしれないが、そういう人ほど、自分に必要ないと思っているだろう。私には、そもそも自分のコミュニケーションに疑いを持たない人がいる、ということ自体が信じられないのだが。

新訂 福翁自伝 (岩波文庫)

新訂 福翁自伝 (岩波文庫)

いま読んでいる福沢諭吉の『新訂 福翁自伝』は、彼が生きた江戸時代後期から明治にかけて、いかに世の中を渡ってきたか、を彼の口述した内容を記述し、さらに本人が推敲加筆した本である。口語体なので、そこそこ読みやすい。

一書生がどのようにして都を目指し、学問を重ね、諸外国を巡り、慶応義塾を開くまでになったか。古典を読みなれない自分としては、自分がよく読む分野、つまり自己啓発本やビジネス書のように使えるフレーズを探しながら読んでしまう。たとえば、横浜で英語がまったく読めないことにショックを受けた福沢が、今まで身につけたの蘭(オランダ)語の知識を生かしながら、さまざまな先生を頼って英語を習得してしまう話などが印象に残った。

ただ、おかしな自慢が多数出てくるので、そういう部分は適当に受け流す。あれ、この感覚はどこかで体験したような、と思ったら、大前研一を読んだときと同じだった。