小倉千加子『結婚の条件』

なぜ、日本の晩婚化と少子化は止まらないのか。

結婚の条件 (朝日文庫 お 26-3)

結婚の条件 (朝日文庫 お 26-3)

事前の情報が大してないままに、この本を読んでみた。著者の小倉氏は大学教授でフェミニストらしい。読み進めてみれば、母と子、雑誌「VERY」と「STORY」に代表される価値観、だめんず・うぉ〜か〜分析、梅宮アンナ、恋愛とフェティッシュなどをテーマに、みもふたもない分析が次々と続き、その説得力の強さに、ああ、これじゃ晩婚化になるわなあ、と頭を垂れる他はない。それが最後まで続く。希望のある総括など期待してはいけない。でも、ひねくれている感じや嫌味な感じはない。それどころか、端々にちりばめられるユーモアに、思わず笑ってしまう。

  • (梅宮辰夫に甘やかされたアンナを指して)猫をカスタード・クリームの中で溺死させるという殺し方もあるようだ。
  • この女子学生の結婚願望を男子学生に紹介すると、教室中に「冬中(原文ママ)夏草」みたいな菌糸状のものが浮遊する。漠然とした怒りと不安めいたものだ。

テレビによく露出する一部のフェミニストのせいで、ヒステリックな言動ばかりになるのでは、という先入観をつい持ってしまう自分だが、客観性に貢献するような、距離感を保つ努力には、誠実さを感じる。

この本のリリースは2003年なので、これまで数多くの書評がブログ上にあるので、そちらも参考に見てもらうとして、finalvent氏の『極東ブログ』(http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2004/01/post_19.html)の書評で、発売当時の帯に書かれていたコピーを知った。

「青年よ、大志を捨てて、結婚しよう」

本当かよ?! とてもそうは見えなかったけどな。

本に書かれている分析はさまざまなのだが、未婚男性の私が受け取ったメッセージをまとめるなら、「早く幼さを捨てなさい」だった。じゃ、帯のキャッチフレーズも外れてないか。
最後に、著者はこう諭す。

私は、男子学生に何度も諭してきた。結婚に高望みをしてはならない。男性が女性に求める不動の条件は4K「可愛い・賢い・家庭的・軽い(体重が)」であるが、四つもKを求めていては、いつまでも結婚できない。二つあれば御の字で、三つ求めるのは自信過剰である。どれを捨てて、どれを残したいのか早くに決めて、条件に合う人がいれば早く行動に移すこと。

はーい。