喧嘩は強い?

 雑談の途中、何気なく友人にそう聞いたら、「そういう質問には不用意に答えないようにしている」だって。あーそうかい。しらけちまうぜ。

 好きな作家、日垣隆のメルマガ主催の講座「喧嘩必勝法」(無料)に行ってきた。天気もいいというのに、午後1時から午後5時まで、神楽坂の日本出版クラブ会館にこもりきりだった。

いかに相手の急所を攻撃するか。
パッチギの有効性について。
3秒で相手を組み伏せるには。
あの、嘘ですからね。

 もちろん、ここで言う喧嘩とは暴力を指さない。「喧嘩=説得に成功する、良好な関係をつくる、目的を達する」と定義して、その方法を考えていく、という講座である。前出の友人は、たぶん暴力のほうと勘違いしたのだろうか。別に喧嘩に弱いと答えたからって、私から獣神サンダーライガーのような掌打が飛んでくる危険はないのに。

 メルマガの講座は、たいてい事前にメーリングリスト(ML)が作られる。これが、参加者の初対面の緊張を和らげ、投稿が講座内容になり、さらには来年出版予定の本の取材となる。集団の叡智を借りることで、独りでは決してできないレベルを目指すそうである。今回も、事務連絡とともに、出席者の自己紹介と喧嘩体験、質問が投稿された。
 その数、100通以上。その背景や悩みもさまざまである。マンション内のトラブル、取引先や顧客、上司と部下、友人、夫婦、マナーが悪い人への注意、などなど。私も投稿したが、その内容は、他の人に比べれば切実さにはほど遠く、まだまだ暢気なものである。そんな私は、もちろん喧嘩に弱い。

 講座内容は、来年に出版される予定なので、あまり詳しく書けないが、それでもポイントをいくつか書くと、こんな感じだった。まあ、このぐらいだったら、問題ないでしょ。

  • 喧嘩は目的を達成するための非常手段
  • 喧嘩をやめる笑いの有効性
  • けっして喧嘩してはいけない相手
  • 相手に「逃げ道」を用意する
  • (余談)保母さんをうっかりクビにした話
  • 公務員、銀行、NHK受信料、宅配便、裁判員制度
  • メモの有効性
  • 自分の不満のレベルアップのパターンを見極める
  • 「怒る」と「キレる」は違う
  • 相手と「共犯関係」になってはいけない
  • 「嫌われたくない」が最優先になる悲劇
  • 批判は、単なる否定ではない
  • 「いつか刺される」人
  • 「経緯」と「謝罪」と「償い」
  • MLでの各人の処方箋

 講座を聞いているうちは楽しく納得できていたが、帰宅した途端、それは一時的なカタルシスでしかなく、実際に役に立つかどうか心配になってきた。でも、こうやって書き出すと、本質的なポイントが数多く示唆されていることに気づき、少し安心した。
 講座のあとは、そのまま立食パーティー形式(これは有料)の懇親会である。「人見知りの男も アメリカ人のように こんにちは、と声を掛ける」<<キリンジ/ロープウェイから今日(こんにち)は より>> ってな感じで、同業者や多種業者(やっぱりライターが多い)の人々、日垣氏を交えて会話を愉しむうちに、あっという間に3時間が経った。(自分を棚に上げて)ひと癖ある面々と、マニアックな話をするのはエネルギーが要る。私は仕事用の名刺しか持っていなかったが、逆に私はプライベート用の名刺をもらうことが多かった。知り合いのデザイナーに頼むといいらしい。私の周囲にデザイナーさんっていたっけか。

 これを読んで、内容に興味のある方がいたら、ぜひ本を手に取っていただきたい。