大鹿靖明/ヒルズ黙示録 検証・ライブドア

ヒルズ黙示録―検証・ライブドア
図書館でしばらく前に予約して、ようやく順番が廻って読み始めてみたら、ちょうど堀江貴文被告の初公判と重なってしまいました。

社会性が弱い私は、ニュースを解析する、ということができないけれど、どうしてメディアがこんなにライブドア叩きを行ったのか、それほど大騒ぎする事件なのか、というのは気になっていました。著者の大鹿氏は現AERAの編集者です。この本には、プロ野球参画、ニッポン放送株の買収、衆院選を中心としたライブドアの絶頂と崩落が、楽天 vs. TBS、村上ファンドなどとの経緯とともに語られています。取材に裏づけされた淡々とした文章で、しかし生々しい密談の様子などが記されているので、けっこうな興奮とともに読めました。

でも、経済や法律の仕組みのところは、ぜんぜんわかんないね。TOBとか、転換社債とか、プレミアムとか、単語は聞いたことがあっても、企業買収の全体構造が理解出来ない。
知らないのは、自分だけだったらどうしよう。けっこうあるからなあ、そういうこと。

とくに印象に残ったのは、フジテレビとの和解で莫大な資金を手に入れた社長の堀江貴文が、実務はCFO宮内亮治たちに任せ、芸能活動と宇宙事業ばかりにしか興味を示さないぐらいに「堕ちて」しまったことと、通称・村上ファンドで知られた村上世彰の、ライブドア楽天を手玉に取ったやり口のあざとさ、でした。

おそらく堀江が否認を続けるのは、知らないからではなく、検察の描くストーリーと、自分が考えているストーリーがかみ合わないからだろう。(終章 突破者 335pより)

たぶん、これからも堀江被告の公判の報道が続いていくんでしょうが、この本の感想を書いた多数のブログなどを見ていたら、その報道する側のテレビ局が巨額の申告漏れを起こしたり、有価証券報告書での虚偽記載があったことを思い出しました。

ノンフィクションを読み慣れていない私でも楽しめたので、おすすめします。でも、これ以上は、よくわからないから、訊かないでね(笑)。