小堺クンのおすましでSHOW21

今年も、小堺一機が座長を務める舞台を、新宿のシアターアプルへ見に行った。前に書いた関根勤カンコンキンシアター同様、見に行くのは18年目である。チケット代は少し高いが、4時間やるので、時間単価で見るとむしろ安い。

私が小堺一機の芸を認めているのは、舞台とラジオだけである。「ごきげんよう」はともかく、テレビの出演については、見ないようにしていた。彼のテレビ用の演技、というものが、いかにもテレビに合わせてきた、という感じで、(それ自体は才能なのだが、)気恥ずかしくて見るに堪えなかった。

舞台は、小堺一機が歌う「L-O-V-E」("L is for the way you look at me"ってやつ)と、出演者全員のダンスで幕を開けた。今年の内容は、演劇のワークショップを題材にしていて、松尾伴内の、ひとつの言葉で幾通りにも展開するボケと動き、あさりど・堀口の、遠くから見てもわかるほど真っ赤になっての本気の焦りに、死ぬほど笑わされた(まだ咳が出て苦しいのに)。

笑わされながら、「テレビじゃ絶対見られないな」ということに思いが及ぶ。テレビを見て面白いと思うのは、バラエティと言われるジャンルだったら、生放送の「虎の門」での、いとうせいこうの企画とか。あれは演者の力が出やすい。
演者以外の意思、つまり「編集」が入ると、つまらなく思えるのかもしれない。それに、自分が一発ギャグよりも十分な振りのある笑いを好む、ということもあるだろう。

舞台が終わって、いっしょに行った友人たちと帰る。私は、ライヴや観劇の帰りに、感想を言い合うのが妙に恥ずかしくて、黙々と歩いてしまうことがある。私だけですか?