G1クライマックス

かつての業界最大手が、凋落するのを見るのは忍びない。

毎年この時期になると、新日本プロレス(かつてアントニオ猪木が設立)のG1クライマックス勝戦を、大の格闘技・プロレス好きで、その戦いが紡ぎ出すストーリーに本気で涙を流せる、nonkichi(id:nonkichi:20060814)夫妻と見にいく。

ふだん、それほどプロレスを見に行かない私が、なぜこれだけは欠かさず見に行くかといえば、

  1. 会場の両国国技館は、2階でも見やすい。
  2. 1対1のシングル戦なので、見ごたえがある。
  3. 総当たり(リーグ)戦なので、ふだん見られないカードが数多く実現し、番狂わせも起きやすい。

という理由から、「鉄板」のシリーズとして楽しみにしているのである。そして、かつて恒例だった各地のドーム大会を取りやめてしまった今、新日本プロレスに残された重要なブランドの一つなのである。

しかし、今年の出場するメンバーの顔ぶれを見て、あまり期待はしていなかった。ミスターG1の黒いカリスマ・蝶野正洋は怪我でリーグ戦不参加、テクニック抜群で見た目も格好良い若手の中邑俊輔は海外修行中とあって、楽しみは半減した。

去年は、橋本真也選手が急逝し、その同世代の蝶野選手(結局優勝)に注目が集まったことや、強力な外敵・藤田和彦選手(DJクボタタケシに似ていると思う)が参戦したことで、大いに盛り上がったし、会場もほぼ満員だった。しかし、今年は、明らかに空席が多い。私たちの目の前の数列はほとんど人がいなく、こんなに見晴らしよくていいのか、と危惧したほどである。それなのに、けっこうたくさんの招待券がばら撒かれている、という噂は本当なのか。主催者は11000人(満員)と発表しているが、それはない。

試合全体も、もうひとつピリッと引き締まらなかった。なんで優勝決定戦で眠くなるわけ?! 初めての経験だぞ、こんなの。それでも、勝負の決まるラスト10分の攻防でそれなりに盛り上がってしまうのが、ファンの悲しい性である。

試合が終わって外に出ると、某ナベ研究員 が急に、「あーあ、何か飲みたい気分だなあ」とつぶやいた。私を含めた旧友たちは、酒を飲むほうではない。でも、よっぽど、新日本プロレスに向かって何か言ってやりたかったのだろう。そんな気分を共有した私たちは、上野の寿司屋へ向かった。

そこで出た意見としては、

  1. 経営陣と選手間のあつれきと多数の離脱者、親会社ユークスによる買収騒動、興行やマッチメークの長期的な戦略のなさによる、試合の質の低下とファン離れ、などゴタゴタが多すぎること
  2. 選手の上の世代が、下の世代に対して高い壁とならなければいけないのに、それができずに若手に簡単に試合の勝ちを許してしまい、また、若手が人気先行型になってしまっている。事実、現タイトル保持者で、団体から若きエースを任ぜられている棚橋弘至選手には、ブーイングが起きていた。ホームのリングなのに…。

格闘技界の人気先行型の若手選手か。そういえば、最近そんな話も多いな。