ピンクパンサー

ピンクパンサー コレクターズ・エディション [DVD]
ふだん、あまり映画を見ない。だから、見る機会があるときは、優先的にそうするようにしている。覚えておきたくなるセリフにたくさん出会えるし。今回は、数ある映画のなかから、「ピンクパンサー」を選んだ。名前は何度も聞いたことがあるのに、内容をまったく知らないからだった。

どのくらい知らないかというと、あの有名なピンクパンサーのキャラクターは、別に本編に登場するわけではなく、巨大ダイアモンドの呼び名だった、ということをはじめて知ったぐらいである。主人公は、クルーゾー警部(スティーブ・マーティン)だったのか。

私が見た話(たぶん最新作)は、W杯サッカーの試合中に殺されたチームの監督と、その手に光っていた失われた巨大ダイアモンド「ピンクパンサー」の行方を、大抜擢された自信たっぷりのイカレ者、クルーゾー警部が追う、というものだった。

殺人事件なのだが、ストーリーはとてもシンプルで、わかりやすい(伏線、と呼べるものがどこかにあったっけ? と思うぐらい)。 ギャグもわかりやすいが、スティーブ・マーティンがさらりと演じるので、知的でさわやかな印象が残る。ちなみに共演はジャン・レノで、出すぎた演技をせずに脇役に徹しているのもいい。

ところで、クルーゾー警部が重大なヒントに気づくシーンに流れている曲が、「ガール・ガール・ガールのテーマ」(作曲 小西康陽)のイントロをそのまま使っている。サンプリングしたのかな。

さて、この映画をどこで見たかというと、出張で中国ヘ向かう飛行機の中である。機内食をいただきながら、楽しんで見ていた。キャビン・アテンダント(CA)の女性がコーヒーを運んできた。隣の席の人が青いカップに注いでもらっている。ん?!しまった! 青いカップはそうめんのつゆで使ってしまっていた! どうりで取っ手がついていると思った…、と焦るが、すぐに平静を取り戻し、CAのトレイから紙コップを受け取り手に持つ。

「…」 ん?なんで注がないの?「あの、お注ぎしますので、トレイに置いていただけますでしょうか」はい、と自分のトレイに紙コップを置く。「…。あの…。」あくまで紳士然として私は言った。よく状況がわからなくなってしまったので、説明してもらえますか?「こちらのトレイに」あ、自分のじゃなくって、CAさんのトレイ? 注ぎにくいのね。

かつてブルース・リーの映画を見終わった後、目つきが変わって帰る人はいたらしいが、クルーゾー警部に影響されて、会話がかみ合わなくなってしまう人は私ぐらいだろうか。

ごめんなさい。うそです。はじめから「ダメな人工知能」タイプです。

これから11日間の中国出張である。気をつけないと、私の正体(=莫迦)がばれてしまう。