小堺クンのおすましでSHOW 20「20 for…」(8月の想い出 5)

気がつけば10月なので、書き残したことを簡単に書きます。

本当なら、去年が20回目だったのだが、小堺一機が病気療養だったため、今年が20回目でした。このステージは2年ぶりですが、半年前に戸田恵子とのライヴがあったから、そういう感慨は薄かったです。

小堺一機といえば、一般的に『ごきげんよう』の司会者、というイメージがほとんどでしょう。このステージを見ると彼が何を目指しているかよくわかります。生バンドを入れての、トーク・歌・踊り・コントのエンターテイメントショー。それはニューヨークへ出かけてパンフ撮影していることからも伺えます。逆に、彼のテレビ出演に対して、私はあまり興味がありません。

共演者を見るのも楽しみです。松尾伴内の1ネタで徹底的にボケる技術は素晴らしい。たぶんテレビでは見ることはできないので、ここで見られるのがとても貴重です。そして、今回とくに注目したのは、初共演となる「あさりど」(川本成堀口文宏のコンビ)でした。

あさりどって、まだやってたの?」「懐かしいねえ。」私の周囲の人のあさりどについての感想は、だいたいこのようなものです。『笑っていいとも!』のいいとも青年隊だった、と知っている人はほとんどいませんでした。ましてや、トヨタレンタリースのCMに出演していたのを知っている人は、私の周りで一人だけでした(いや、知っているほうが相当珍しいか)。

彼らが舞台に出てきた瞬間、大げさに言えば、輝いているように見えました。出演者の中では、年齢が若い、というのもあるでしょうが、「欽ちゃん劇団」の1期生である彼らは、たぶんテレビより舞台のほうが合っているのでしょう。そんな彼らに対し、小堺さんは次々とアドリブを仕掛け、彼らの勢いあるレスポンスをコントロールし、笑いを生んでいきます(堀口くんは、アドリブで追い詰められ、本当に汗をかきすぎて、前髪がどんどん下がっていきました)。この方法は大変に功を奏して盛り上がり、私が見た回では、初めてカーテンコールが2回あるほどでした。

あさりどの10周年記念DVD

そんな盛り上がりに影響されて、私はあさりどの10周年記念DVDを買ってしまいました。限定200本に惑わされたのかもしれないけど。内容は、彼らが年1回で行う単独ライブからのベスト・セレクションが中心でした。見てみた結果、私が笑えるネタというのは、ボケの堀口くんがテンションが上がりきって、わけのわからないことを言い出し、それに対して川本くんが突っ込んでいく、というパターンでした。お客さんの心の中での突っ込みと、うまくシンクロするんでしょうね。逆に言えば、それ以外のネタは物足りませんでした。ひとつひとつのボケ・突っ込みの中に、もっと意外性や深みがあって欲しかったです。いや、ぜひ伸びて欲しいと思っているのですよ。

なぜ、こんなところで、あさりどについて書いているのかといえば、舞台での彼らを見て「さわやか」だと思ったからです。そういう性質を持った芸人が、もっといてもいいと思います。「芸人にさわやかさは必要なのか?」という疑問もあるでしょう。たしかに、昔から今までの芸人の面白さを構成する要素として、「不良」性は重要だと思います。私も、そういう芸人のフリートークを聞いて大笑いします。しかし、その対極の存在として、さわやかさを持つ芸人が出てきてほしい。そこに狂気が加わったら、面白くなるんじゃないかなあ。もし、これから新しい笑いが生まれるとしたら、そういうところにも可能性があるかもしれません。

そういう存在に、あさりどはなれるのかどうか?ともかく、あさりどには、来年もおすましでSHOWに出てほしい。